ほぼ足りてまだ欲 その先

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「東京ローズ」



 前にも書いたかもしれないけれど、今年の暮に初台の新国立劇場の小ホールでミュージカル「東京ローズ」が上演される運びとなっております。なんで、ミュージカルでこんな暗い話をかけるのか、甚だ疑問でございます。

 いわゆる東京ローズというのは、何度もここに書いたような気がしますが、アジア太平洋戦争末期に日本軍がプロパガンダ放送として南太平洋に展開する米軍に対して放送していた「ゼロ・アワー」を担当する女性アナウンサーに対して、米軍兵士たちが勝手につけた名前なんです。だから、別に放送に際して「東京ローズがお送りしています」とはいっていないんじゃないかと思われます。
 当時この放送に携わっていた女性たちは何人もいたわけで、じゃ、なんでIva Toguriが東京ローズなんだとして米国の、数少ない国家反逆者として罪に問われたのか。その後彼女は収監され、6年2ヶ月後、開放されて、シカゴに開業していた父親のグローサリー・ストアの店番をしていたそうです。結局最後は恩赦で市民権を回復しましたが、2006年9月26日、脳卒中のため、90歳で死去しています。
 日本が無条件降伏して、どっと日本に米軍関係者やマスコミが入ってきます。当時のマスコミの先陣争いは、天皇裕仁を取材できないか、だったといわれていましたが、ある記者がアイバ・戸栗を探し当て、金を出すぞといって彼女が東京ローズであるといわせたのですね。金が欲しくていってしまったわけです。写真のためにマイクの前に座って原稿を読んでみせたりと、大サービスです。結果、金にもならず、トルーマンの大統領選挙の良いキャンペーン・モデルにされて、長い裁判に巻き込まれ・・・こういう人生をミュージカルにするんですか?
 このミュージカルを作って上演したのが英国人であるというのが引っかかります。
 12月の中旬のマチネを一応買いました。それまでにそういうところに出かけても心配のない状態になっているかどうか、甚だ不安ですが、その時はその時、行かなきゃ良いわけです。
 ところで、三宅坂国立劇場は改修ではなくて、建直しをするんだそうですが、そうなると、初台のほうが古い「新」国立劇場ということになってしまいますが、どうするんですかね?と余計なことを考えます。