ほぼ足りてまだ欲 その先

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岡本喜八が死んだ

 私は日本映画で監督を意識してみていたものはとても少ない。この監督の映画がどれなのかというのも意識したことがない。一番最後にあぁあの監督の映画だから見よう、と意識して見に行ったのは周防正行監督の「Shall We Dance」だけである。で、この監督は「話の特集」なんかでも書いていたこともあって名前だけは良く聞いていた。で、その訃報を聞いて監督作品に最初に上がっているのが「独立愚連隊」でびっくりした。
 この映画は私が自分の意思でひとりで見に行った最初の映画だと記憶している。小学校6年生だったか中学1年生だったかというころの話だけれど、そんな年齢でなんという映画を見たんだろうか、と思う。公開1959年、東宝作品でモノクロ作品だった。個性派俳優というか、見るからに悪役面の佐藤允の印象はとても強い。あの映画に三船敏郎が出ていたのだとは知らなかった。
 今から考えるとあぁした映画が好きだったのは生まれながらの反体制、反主流、「反」常識、という人間だったからなのか、それともあんな映画や、松竹の伴淳、アチャコの「二等兵物語シリーズ」、大映勝新太郎田村高廣の「兵隊やくざ」シリーズ、真面目なところでは松竹の「人間の条件」というようなものばかりを見ていたのでそうしたものの考え方を持つようになったのだろうか。そうして考えるとずいぶん単純に人間ってできちゃうものかもな。
 それでなのか、昔から家や学校で叱責を受けると私はその屈辱感に耐えるがために眼をひんむいて私を叱る人の眼をじっとしたから見上げていたような気がする。多分それが多くの大人の感情を逆撫でしていたのだろう。多くの場合、「なんだ!その反抗的な態度わっ!」とまた火に油を注いでいたような気がする。