ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

コムスン

 グッドウィル・グループの「コムスン」(東京都港区)が組織的に介護報酬を過大請求していた疑いがあるとして、東京都は介護保険法に基づき、都内にある同社の事業所約50か所を一斉に立ち入り検査(監査)した。都は過大請求分の返還を求めるほか、同社に業務改善を勧告することを検討(2006年12月27日 読売新聞)。しかも、「ケアプラン」に不備があって介護の内容が明確でない事業所もある様子である。これまでにも実地指導してきたが従わなかったので「監査」に踏み切ったという。「事業所がいつも留守番電話で、その後も連絡が来ない」「承諾していないのに、受け持ちの事業所が変えられている」といった苦情もでているとされている。
 つい先日同じ人材派遣を主とするクリスタル・グループがコムスンに買収されたこともあってこれから先コムスンを含むグッドウィルが介護業界の巨人となる可能性がある。しかし、性善説に成り立っている介護の世界とその管理体制に利益追求を至上とする民間企業の参入を認め、市場主義に委ねるそうした姿を当然のこととした2000年の福祉構造改革が本当に試されるのはこれからなのではないだろうか。勿論官組織が全て性善説に成り立っているとはいわない。その証拠にほうぼうの地方自治体、あるいは中央の組織でも多くの顰蹙を買っている事実は枚挙にいとまがない。しかし、本来利益を上げるためには何をしてくるか分からない民間対民間の性悪説に基づく「契約」方式に基づいて介護を考えようとすること自体がアンバランスだといわざるをえない。契約の当事者の一方が利益追求組織で、そのカウンター・パートである利用者がそれを避けては通れないサービスの契約者だという点はやはり、一般の商品売買契約とは同列に語ることができないのではないだろうか。利用者にとってはどうしても契約しなくてはならないのである。しかもそんなに選択肢があるというわけではないのだ。
 このシステムの改善に根本的な手を打たないと、それでなくても人手がどんどん不足してくる介護の世界はますます大手資本に牛耳られ、それが万が一なにかしらの問題、例えば財政的な問題、倫理的な問題等を抱えた時、利用者はそこで放り出されてしまう。これまでその種の問題を引き起こした組織について詳細な報告は日の目を見ていない。その上、介護労働者のにっちもさっちもいかない介護報酬の低さを改善できない今のシステムではますますじり貧である。
 コムスンを抱えるグッドウィル・グループは来期から西武球場の名称を「グッドウィル球場」とし、西武2軍にもその名を使う契約が成立しているという。