ほぼ足りてまだ欲 その先

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どこに行ったらいいと

 常盤台の駅で通過する急行にはねられた警察官が亡くなってしまった。自殺志願の女性が電車の線路に踏切から入り、どんどん歩いていくのを止めようとしていて、ご自分が撥ねられて亡くなってしまったわけだ。真剣にこの自殺志願の女性を慮って追いかけて行かれたのだろうと思う。本当に哀悼の意を表したい。
 時々煙突や高いビルの屋上の手すりから外に出てしまって自殺をしようとする人が出てくる。それほど自分の将来を悲観して「もうどうなっても良い」という気持ちを持つ人も辛い。そんな時、実際にどこかに行って話を聞いて欲しいと思っても、そんなところを普通思いつくだろうか。あぁ、もうダメだ、何をやってもダメだ、どうしようもないんだ、と思い詰める状況になったとき、人は一体どこに行ったら良いんだろうか。そうした場所を思いつく力を持った人ならば「そうだ、あそこに行って相談してみよう」と思うかも知れない。しかし、そこまで自暴自棄になったとき、どこか思いつくのだろうか。そしてふつう、そんな場合に押しとどめてくれる人が周りにいるのだろうか。この警察官は彼女の命を救おうとした。そして成功したけれど、自分は命を失ってしまった。
 東京新聞の一連の記事から何があったのかを追いかけてみると

 現場近くの踏切内に女性が立ち入ったのを、線路脇の常盤台交番に一人で勤務していた宮本邦彦警部(巡査部長から二階級特進)が通報を受け、女性を交番に連れ戻した。しかし、すきを見て女性が逃げ、踏切の遮断機を持ち上げて線路内に侵入。
 目撃者によると、宮本邦彦警部は踏切遮断機前で「死んだっていい。(止めたら)弁護士を呼ぶ」と叫ぶ女性に「私が悪者になってもいい。だから入るな」と手を広げ制止したという。しかし女性は線路に入ったため、宮本邦彦警部は追いかけ、ホーム下の退避用空間に女性を後ろから抱え込んで引き入れようとしていたが、さらに女性は抵抗していたという。
 電車が来た瞬間、宮本邦彦警部は女性とともに線路のレールの間に倒れ込んでかばい、通過電車の下部に隠れることで事故を回避しようとした。

ということのようだ。
 幸いなことに私は今、たまらないほどの不安状態にいない。勿論心配でならないことがないわけじゃない。日頃から心配で心配でならないこともある。それを考えると夜も寝られなくなるときもある。しかし、だからといって今私が自分の命を絶つような考えには至らない。しかし、ひょっとするといつの日にかそんな不安に陥らないとは限らない。その時に私はいったいどこに行って誰に相談するだろうか。まずは家人がいてくれる。しかし、もし私がひとりで暮らしていたとしたら・・・。例えば保健所に行って相談できる日がありますよといわれたとしても、それは毎日ではないし、夜はしまっているし、ただ単に会場を提供して近所の医師が義務感に駆られてきているだけだったりする。宮本邦彦警部が命をかけて救った女性が最初に線路に入る前、彼女はどこかに相談できるところがあったのだろうか。彼女が通院していたという記事も見た。人に沸き起こった不安感はそう簡単に払拭はできないということなんだろうか。
 今の私だったなら家人に相談し、かつて一緒に学んだ友人たちに思い切ってメールをするだろうな。