ほぼ足りてまだ欲 その先

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社会保険 時効

 民主党の山之井和則衆議院議員が先週金曜日の厚生労働委員会柳沢伯夫大臣に社会保険庁に於ける年金情報のいい加減さについて追及した。厚生労働省は不足情報が見つかったとしても直近の5年分を給付するだけでそれ以前の分については「時効」とする見解である。そんなバカな話はない。どこまでこの役所はいい加減なんだろうか。挙げ句の果てに特殊法人化してすたこらさっさと逃げようとしている。なんでこんなことが許されるというのだろうか。

070518 衆議院厚生労働委員会
民主党山之井和則 
第一生命は今回の保険金の支払いについて深くお詫びを申し上げますと調査をしている。請求がなくても保険の未払いがないかと調査している。民間でもこれくらいのことをやっている。にもかかわらず社会保険庁では5000万件も誰のものかわからないという年金記録がある。そして昨日の読売新聞でも既に支給年齢に達している人たちに該当する分で1900万件も不明確になっている。こういうことにきっちり対処しないと、払っても給付されないのでは納付率は下がる一方となってしまう。
あるテレビ番組に出演しておられた77歳自営業の方で、60歳の時点で勤務していた期間の厚生年金保険料を9年5ヶ月分払っていたと記憶しているんだけれども、1年6ヶ月分の記録しか見つからなかったので、その分だけしか給付されていない。ところが76歳の時にマスコミでの報道を見てもう一度年金手帳を見たら、そこに他の社会保険事務所の印鑑があって、ようやく残り分がハッキリしたのだけれど、直近の5年分の支給しかされない。象徴的な氷山の一角でありますが、まさに典型例です。大臣、どの様にお考えになりますか。
柳沢:具体的事例に則して再調査の申し出を戴いた、それにも拘わらずその時の調査の仕方の結果、お申し出を確認することが出来なかった。しかしながら76歳時に再調査をしたということからご主張が確認できた、こういうことであったわけですが、要は他方にある時効という制度によってその全額の回復が出来なかったという事例であります。私も大変に遺憾だと申し上げざるを得ないわけでございます。ま、時効というのも国損を与えないためにですね、会計法の基本原則ということで規定されておりますのでこれに従うということにならざるを得ないわけですが、こうした事例についてですね、事故中断という措置がですね、国民の側にないのかという風に思うわけですけれども、唯一審査請求ということがあると云うことでございまして、これを具体的な適用としてどういう風に運用していくかと云う面もあって、われわれ考えなくてはならないところがある、そういう余地があるのかも知れませんけれど、いずれにしろそうした事故中断の措置を執ると云うことによってしかですね、救済というものが図られないと云うところが現在の日本のまぁ、会計法規を初めとする法制度の実態といわざるを得ないというところでございます。
山之井:柳沢大臣、遺憾だと仰るのであれば、この時効が効いていない11年間の分も支給すると云うことにつながらないと意味がないのではないでしょうか。金額を見てください、本来は年額51万1千円だったんですよ。しかし、60歳の時には年額8万1千円しか貰えなかった。つまり43万円を時効によって受け取れなくなったのです。それでは時効によって受け取れなくなった金額は全部でいくらですか、11年間で。
柳沢:至急計算しようと思ったら山之井議員の資料にあります、493万8千円が受け取れなかった。
山之井:11年間時効によって本来受け取られるべき493万8千円が受け取れなかった。これは遺憾ですで済まされないでしょう。本人の落ち度があったのか。
柳沢:まぁあの、私も事実問題として落ち度はなかったであろうと思うわけではありますが、もし資料があればですね、これは簡単に調査がわかったわけですが、この時期、昨年の8月(後ろに聴く)8月以降の体制が整備、そういうことの、あのぉ、その状況を踏まえてですね、体制を取らせて頂いたわけで、まことに遺憾であります。
山之井:本人に落ち度がないということをお認めになった。ではなぜ真面目に一生懸命働いて納めたのに、493万8千円もなんで貰えないんですか。社会保険事務所社会保険庁に落ち度はなかったのですか。
柳沢:一般論で申し上げざるを得ないのですが、私どもの調査が厚生年金でありますとマイクロフィルムに原資料がございます。その中に記録がなかったのかどうか、あったにも拘わらず磁気ファイルに転記がなされなかったのか、いずれにしても調査の中で見いだせなかったのは遺憾です。
山之井:本人に落ち度がない、社会保険事務所社会保険庁に問題があるというのにも拘わらずなんで加入者が493万円も受けられないというのは国家的な詐欺じゃないですか。強制加入、強制徴収といっておきながら社会保険庁のミスで受給できなかったら493万円払わなくても仕方がないと大臣は思ってられるのか。
柳沢:これも一般論としてお答えします。個別にすべての資料をわれわれは調査が出来ているわけではありませんから。そういう限界がありますから。会計法の、先ほどいった国のあらゆる入歳出の共通ルールとしては時効というものは例外が認められておらないわけでございます。この一般ルールと個別の権利救済の調整につきましては個々の事案に即して個別具体的に判断すると云うことが必要となるわけです。社会保険庁が受給保険者の請求権の行使を著しく困難にさせた結果と云うことで年金の請求権、主文献(?)でございますが、発生から5年以上経過した後に行使されることとなったという事例につきましては消滅時効の主張が審議則に反し、許されない場合もあり得るということが委員のご議論でございますので、そうしたことも考え得ると云うことを申し上げておきます。
山之井:全く納得できません。社会保険庁のミスで見つかりませんでした。後になって見つかったけれど時効だから払いませんというのでは理屈が通りません。なんら落ち度がないじゃないですか。これはこれからも起こりうることです。真面目に払っても社会保険庁のミスで見つけられなかったら払われない、そんな制度で通ると思いますか。
柳沢:従来から申し上げておりますように年金番号が附番された時にもう一つ違う会社にお勤めというような場合でですね、附番でもって加入がされておらなかったというような場合に附番が統合されるというようなことがあり得るわけですが、先ほど申し上げましたように、われわれの方で三情報が一致する場合には統合するというやり方をしてきたのですが、それを手続きしてやったわけですが、それでもいまでもつながっていない場合があるわけです。現在お申し出でを戴いて調査をするということをしているわけでございますけれども、私どもがその調査について特別な強化体制ということの中で今・・・その・・取り組みを改めて強化させて頂いているわけでございまして、今後はそうしたことが起きると云うことは私どもないという様にしたいと考えて、この前の審議の時以来縷々、私からご説明させて頂いております。一方消滅事項というものにつきましては先ほども申し上げましたように会計法の共通ルールとして(山之井:もうそれは聴きましたから結構です!)例外がないということでございますので、私ども法を守って行政を行う立場としてはその中でしか、いろいろな行為が出来ないと云うことです。従って消滅事項の主張が審議則に反し、許されない場合があると考えられる事例であれば、そういう救済をされる機会があり得ると云うことを申し上げておきます。
山之井:請求が著しく阻害された場合と仰いますが、阻害されるもくそも、いくらいっても記録がないといって追い返したのは社会保険事務所じゃないですか。請求はしているわけですよ。過去最高裁判例では時効というのは権利を行使することが期待できるのに行使しなかった、それが5年過ぎたら時効とされています。今回の場合は権利の行使、つまり記録を認めてくれないんだから行使できないじゃないですか。だから最高裁判例でも権利行使が期待できない時は時効は進行しないとしているじゃないですか。だから、時効は成立しないんですよ。大臣、権利を行使することが期待できる状況だったんですか、この人は。
柳沢:請求権の行使を著しく困難にさせたかどうかという事情があったかなかったかということは(山之井:そんな物見たらわかるじゃないですか)誠に個別具体的な判断個々のケースに判断になるわけで私どもが会計法のルールに反してですね、こういうことに従わないということはできないのであって、別途の法的判断に基づいて認められるということが必要であると申し上げているんです。
山之井:大臣、今大変なこといっていますよ。明らかなんですよ。60歳の時に社会保険事務所に行って記録がないと追い返されているんですよ。そうしてそのことに文句があるのならば法的手段に訴えてください?いちいち裁判にしなくてはならないのですか。払った保険料に見合った保険金を払ってくださいという当たり前のことをいっているんです。いちいち裁判なんかを起こしていられますか。一昨日の取り上げたケースではこのまま払った年金を認めて貰えなかったら今後84歳まで生きたらなんと250万円も給付が認めて貰えないんですよ。ひとり暮らしの貧しいお年寄りが年金がどれほど高齢者の生活に対して重要な問題だという認識がなさ過ぎますよ。480万円、250万円は高齢者にとって「ちょっとした金額」ですか。夜も眠れないといっているんです。本人に こんなことで信頼を取り返されると思いますか。いろいろ組織改革とかいっていますが、それ以前の問題ですよ。払った年金がちゃんと貰える、その前提が出来ていないじゃないですか。今回の特殊法人化するという方式が語られていますが、ここで追求しているようなことをしても国会のチェックは弱まり、政府のチェックは弱まります。これが氷山の一角ですよ。大臣、どうするんですか。
 一昨日の方も2年間一生懸命走り回っておられます。社会保険事務所に行って下さいと云われましたが、そこまではまだ話が来ていない。不安に思ったら社会保険事務所に行って下さいといっていましたが、現場はどうなっているか。領収書がなかったら充分に問題にされない。30年40年前に支払っていたことを証明して貰える友人を今でも捜しています。年金記録が見つからないその女性も被害者じゃないですか。時効と云うことは絶対に納得できません。社会保険事務所が記録がないとはねつけているわけですよ。平成18年度の年金給付の中で時効が何件くらいあって総額いくらくらいが時効によって年金給付が貰えなかったのか、これを是非調査してください。
柳沢:え・・・ブフォン・・・年金の・・・ゴホン、あの・・・うん、18年度におきまして、裁定の変更を行ったもののうち年金給付が時効消滅した件数、金額のお訊ねでございますが、私どもあらかじめそうした状況を把握すると云うことを致しておりませんので、お応えをすることは出来ないわけでございますし、これを改めて調査をするということになりますと今申したものを全部にあたると云うことになりまして、私どもとしてはそういうことをするのではなくて、先ほど委員がいろいろお訴え戴きましたが、そうした申し出に如何に対応していくかということに持てる力を費やしていきたいと思っております。
山之井:不祥事のオンパレードといわれてきましたが、社会保険庁の医務官が逮捕されました。この件に関して再発防止策、現状究明について特別審議をして欲しいと思います。
柳沢大臣、今日の答弁、全国民が知ったらびっくり仰天してこんなに無責任なのかと云うことになりますよ。そんなことだったら本当に年金は安心できないじゃないかと云うことになりますよ。誰が考えても納得できない事項の問題について徹底的に議論していこうと思います。