ほぼ足りてまだ欲 その先

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小沢一郎の論理

 予定より一時間近く遅れて小沢が辞意表明会見をした。
 国際平和協力は国連決議のみに立ち、テロ特措法については連立ができれば敢えて新法成立にこだわらないという条件を伴って持ちかけられた連立提案によって、これまで民主党が主張してきた政策を実現することができる。次の衆院選挙で勝つにはまだ力が不足であり、政策協議を行って政策実現できるなら、それによって国民の理解を得られ、それによって民主党が単独政権を得られる道としてより近い。その考えに基づいて政策協議をするべきだと党内役員会に提案したが反対された。これは私に対する党内の不信任であると理解した。
 なによりも今回の党首会談についての朝日、日経を除いた報道、特に昨日今日の報道は全くの事実無根である。取材申し入れすらない状況で私が持ちかけたとか、主導したのだというような報道は許せない。私に対する明白な誹謗中傷は与党自民党の言いなりな誹謗中傷報道であり、報道各社は良心に恥じるところがないかよく考えて欲しい。
<質問に答える。>
 私は離党するとはいっていない。今後の政治活動についてはゆっくり考える。
 連立の意味は皆さんがご存知の通りだ。衆議院選挙で勝てばそんな必要はないことはいうまでもない。
 辞職願を出そうとしてのは昨日。今朝使いの者に幹事長に届けさせた。一議員となっても次の選挙に邁進する。しかし、党首会談の模様がこのような報道に晒されるのだとしたら党に迷惑を掛けることになる。これを機会に皆で考え、議論して、本当の意味での民主党になって欲しい。
生活第一といってきた政策が協議によって現実のものになるのであれば、それが第一だ。実行できないのであれば政策の意味がない。形がどうであれ、実行されるならばそれで結構だと思う。
 報道機関もいうように政権与党として耐えられるのかと云われればそんな考えもある。国民の皆さんには申し訳なく思っているが、このような中傷報道がなされるのは党にとってマイナスだと思う。
 (役員会に諮った結果が見込み違いだったのかという質問に)そんなことを考えて役員会に諮ったわけではない。前からいっているように国連の決定以外で自衛隊を派遣するのは大間違い。安易な軍の派遣がどの様なことをもたらしてきたのかは過去を見ればわかる。その為に最大限の努力をはからなくてはならないし、日本の安定と安全のためには大事なことだと考えている。これを福田総理が認めたということは互いの政策協議に値すると考えた。
 後のことは、もう既に辞職願を出したのだから執行部が考えるべきで、私が口を挟むべきではないと思う。
* * *
 政策が実現できるならば、それが自公連立与党に妥協した形でも、その方が意味があるというのが小沢の論理ということになる。そうであるならばその後の総選挙というものは一気に、遥かに遠のくだろう。すると民主単独政権というのはありえないことになるばかりか、次の選挙がいざ行われる時にはそれまでの連立与党が対立する候補者の擁立が実現できるというのだろうか。ましてや圧倒的数の力を持った大連立政権となって、その妥協的政策の実施が本来的な国民的観点に立脚した政策実現に繋がるという保証が一体どこに存在するというのだろうか。
 自分はいけると思っていたのだけれども、全員の反対を受けた以上降りざるをえないというのは「子どもの遣い」ではないのだからそりゃしょうがない。
 乗ってはいけない話だった。民主党が主張してきた政策の実現はどう考えてもこの時点では実現は難しい。なぜならば衆議院を押さえられていないからだ。しかし、これからの地道な国会論戦を通して支持を取り付け次回には必ずや衆院制覇を実現するべきだっただろう。なぜ彼はこんなにも焦るのだろうか。
 各報道機関に対しても苦言を呈していた。しかし、彼の説明不足も大変に大きな要因となっていると考えられないことはない。福田総理から持ち出されたのであれば、あんな中途半端な伊吹や町村のコメントを許してはならないわけで、もうその時点ではっきりしたことを表現しておくべきだっただろう。

「党内調整せず出てきた」・伊吹幹事長が小沢氏を批判:自民党伊吹文明幹事長は4日、市長選の応援で訪れた大阪市で演説し、小沢一郎民主党代表が福田康夫首相の大連立の提案を党に持ち帰りながらも断ったことに関し「民主党は党首が党内で調整をしないまま他党との話し合いに出てきた」と批判した。また伊吹氏は「自民党公明党とよく話をして福田首相を送り出した。与党の中では不協和音はなかったが、民主党の多くの諸君は理解していなかった」と指摘した。〔共同〕(NIKKEI.NET 12:01)

小沢氏提案説に肯定的見方・「大連立」で町村氏:町村信孝官房長官は4日のNHK番組で、2日の福田康夫首相と小沢一郎民主党代表の党首会談で「大連立」を提案したのは小沢氏との見方が出ていることに関し「自民党伊吹文明幹事長が記者会見で『連立は形の上ではこちらから話を出した、ということになっている』と言っていた。多分、実態はそういうことだ」と、肯定的な見方を示した。自衛隊海外派遣を随時可能にする「恒久法」をめぐる党首会談でのやりとりに関しては「インド洋での給油活動が必要とまず決め、恒久法は議論に時間がかかるので(まとまるまで)給油活動を続けるという話し合いをしたと首相から聞いている」と指摘した。衆院解散・総選挙の見通しについては「(首相は)頭の片隅にもない」と強調した。〔共同〕(NIKKEI.NET 13:01)

 自民党はこれで有利に立ったと思っているように思える。そうだとしたら冗談じゃない。
それにしてもなんとも理解しがたい「小沢論理」だったことは否めない。ここまで持ってきた背中から吹いていた風は遂にその力をいっしたのかも知れない。この節目は歴史的に見てもこの国にとってとても大きなものとなったといっても良いだろう。