ラジオ深夜便で宮田輝アナウンサー司会のかつての番組、「三つの唄」の録音が流れる。昭和36年の録音だそうだ。なんともシンプルな番組で出場者がその場で弾かれるピアノに合わせて唄うと云うだけのものだ。普段はなかなか思い出せない唄を宮田輝が応援しながら詩を思い出して唄い、唄い上げると聴衆が大拍手するというだけの番組。この回は日本にいる外国人が唄うというものだった。なんとも懐かしいのは勿論だけれども、そのシンプルさ加減に忘れていたすっきりした世の中を思う。悪ふざけがあるわけでもないし、とんでもないほどのハイテンションがあるわけでもない。淡々と唄い、宮田輝のなんだか反っくり返った雰囲気を想い出す。インドから来た人が日本に来てから1年3ヶ月間に日本語を勉強したと流暢に話す。当時の日本人は話しかけられると、「はっ！」と受け答えする。忘れていた。こうしてみると暮らしてきた日本の様々なこととその良さをどんどん忘れてきている。
