ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

寶籤屋


 浅草の伝法院の通りを通りかかったら、見知らぬ店ができておりました。ここが以前何やさんだったのか、どうも全く覚えておりません。こういう見慣れない店ができたときは、一年間は昔ここはどんな店だったのか表示しないといけないとでもいう条例でも作ってくれないってぇと不便でしょうがないですなぁ。必ず横を歩いている奴に「おう、ここはなんだっけな?」「さぁなぁ・・なんだっけなぁ・・・」と終わろうというものでございますよ。
 で、何やかと思ったらなんと宝くじ売り場だてんです。年末ジャンボの最終日ですから今日はあっちでもこっちでも声をからしての大宣伝で、行く先、行く先の宝くじ売り場はどこもかしこも人の列ができておりましたです、はい。
 それにしてもこんなところに宝くじなのかぁ、と伝法院の皆さんに文句のひとつもいいたくなったんだけれど、よぉ〜くみると店の上の方にこんな札が三枚乗っかっているんです。これ、三枚とも落語に出てくる富くじのあたり番号なんですな、これで。
 右から「御慶(ぎょけい)」という落語に出てくる屋根屋の八五郎があてた「鶴の千五百四十八番」。そして真ん中が「富久」で「たいこの久蔵」が危うく火事でもしちまいそうになった「松の百十番」てんですが、これが噺家によって番号が違っております。志ん生だと「鶴の千五百番」ですね。小さんだと「鶴の千八百八十八番」だというわけで、ここでは文楽黒門町を採用したようでございますよ。左の「宿屋の富」は馬喰町の宿に来て大尽の振りをしてなけなしの一分で富をかっちまった男が当てたのが「鶴の千三百五十八番」だってえのを示しているわけでございましょうねぇ。これも志ん朝さんだと「子の千三百六十五番」てぇことになります。こんな札がついているんならこちらで購入と行けば良かったですねぇ。わたくしはもうどこで買ったのか、全く覚えておりません。皆様のご幸運をお祈り申し上げておきます。