ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

追加廃棄本

先週末の地元図書館廃棄本即売会で入手した追加書籍をまとめておこう。

  • 日本国憲法を生んだ密室の九日間」鈴木昭典著 創元社 1995:1993年に朝日放送から放映されたドキュメンタリーを下敷きにしたもの。
  • 多民族の国アメリ」ナンシー・グリーン著 明石紀雄監修 知の再発見双書66 創元社1997
  • 「座談の愉しみ 上・下」岩波書店 2000:岩波書店の月刊誌「図書」誌上で展開された座談を収録してある。丸山眞男日高六郎の座談やら中野好夫小田実の座談やらあって至極面白そうだ。
  • 「けったいなアメリカ人」米谷(こめたに)ふみ子著 集英社 2000:著者の米谷の名前は国際結婚者の観点から資料や文献を探していたときに「過越しの祭」で名前を知った。この本は彼女のエッセー集である。彼女の夫は「ハリーとトント」という映画の脚本を書いたふたりのうちのひとりであるということを巻頭のエッセーで初めて知ったような気がする。
  • 「抑留記下」八木春雄著 自費出版 1979:上巻を見つけることができなかった。著者は五・一五事件連座。元満州国軍情報将校だった由。戦後ソ連に抑留され、その後中国の撫順に収監されていたようだ。上巻はソ連編で、この下巻が中国編としてある。
  • 「シェーカーへの旅」藤門弘著 住まいの図書館出版局 1992:クウェーカー教とつながるシェーカー教の話かと思ったら、著者が北海道赤井川村のアリス・ファームの藤門弘で、シェーカーは独特のシンプル且つ繊細且つ信頼感の篤い家具で知られているのだそうで、これはこれとして興味深い。独身主義をとっていたShakerは1970年代に良く語られたシンプルな生活の原点になる考え方といっても良いけれど、それはかなりストイックな暮らし方だ。その始まりは18世紀の英国のマンチェスターにあり、The United Society of Believers in Christ's Second Appearingと呼ばれたのだとHancock Shaker Villageのサイトに書かれている。多分その家具がアリス・ファームにもつながる考え方なのだろう。Hancock Shaker Villageという施設(こちら)は株式会社経営である。なんだかShaker的考え方というよりもQuaker的だ。多分これを読むと観に行きたくなるに違いない。ひょっとしたらある意味まずいものを手にしてしまったかも知れない。
  • パンドラの箱の悪魔」広瀬隆著 日本放送出版会 1999:私がなぜ広瀬のこの本の存在を今まで知らなかったのかが不思議だ。冒頭はW杯フランス大会の消えてしまった入場券の話で興味をそそる。
  • 「おらんだ正月」森銑三著 冨山房冨山房百科文庫20) 1978 1996第三刷:おらんだ正月とは今でいう太陽暦の正月のことだという。著者の森銑三は先年やはりこれも図書館の廃棄本で入手した平凡社東洋文庫の『明治東京逸聞史』の著者だからこの名前を見たときに無条件で入手。
  • 「女たちの太平洋戦争2」朝日新聞社 1991:後に朝日文庫化されているようだけれど、入手は簡単ではなさそうだ。朝日新聞が集めた4千通を超える全国の女性からの投稿を集大成したもの。
  • 東京裁判への道」粟屋憲太郎・NHK取材班著 日本放送出版会 1994:1992年に放映されたNHKスペシャル東京裁判への道 なにが、なぜ裁かれなかったのか」の取材によって得られた史料に基づいたものだとあとがきに記されている。実は粟屋憲太郎の「東京裁判への道 上・下」(講談社選書メチエ) 前に出版されたこの同名書の存在をつい最近まで知らなかった。まさにその本が私の目の前にぬーっと顔を出したという感じである。最初に「天皇はなぜ不起訴になったのか」を書いているが木戸幸一の尋問にあたって通訳をしたのは「日米交換船」で帰国した都留重人だった。そういえば結局不起訴になった皇道派の真崎甚三郎の尋問の際の通訳は息子の秀樹で、秀樹は外務省の官僚だった。彼はその後昭和天皇の通訳を25年間務めていたと武田珂代子が「東京裁判における通訳」(みすず 2008)に書いている。保阪正康によるとこの時天皇二・二六事件のことを真崎秀樹にいってはならないと周囲に漏らしていたのだそうだ。
  • 「地球・街角ガイド タビト パリ」Dorling Kindersley Book 同朋舎出版1995第二刷:このシリーズは絵や写真がたっぷりと入ったガイドブックなので重いのだけれどとても面白いものだった。しかし、日本ではこの出版社がダメだったのか、「歩き方」が業界を席捲してしまったためか、この類やLonely Planetが全く定着しない。だから余計に日本語にならない。このDorling Kindersleyのシリーズもカバーしている範囲が広くて楽しみなことをきっとこれからも何度も書くだろう。
  • 「長い旅の記録」寺島儀蔵著 日本経済新聞社 1993:1935年に樺太経由でソ連に亡命した当時の共産党員が今度は逆にソ連でスパイの嫌疑をかけられて牢獄に入れられ、何年も掛けてようやく釈放され、1993年にこの本の出版に際して58年ぶりに一時帰国したのだそうだ。本書には続編があって翌年に出版されている。そして2冊とも中央公論から文庫化されているがこちらも既に在庫なし。
  • 「国境とは何だろうか」鶴見俊輔座談 晶文社 1996:「戦争とはなんだろうか」、「民主主義とはなんだろうか」に続いてようやく三冊目を入手。まだ3/10にすぎない。
  • 「英国運河の旅」秋山岳志著 彩流社 2001:いわゆるnarrow boatの旅の楽しさを案内するガイドブック。そういえばもう10数年前にいつものお店でたまにあった若者が新婚旅行に行ったと聞いたのがnarrow boatを知った最初だっただろうか。
  • 「日本はなぜ戦争に二度負けたか 国民不在の政治」大森実著 中央公論社 1998:大変失礼な話ながら大森実が未だ健在だったということを知らなかった。カリフォルニアのラグナ・ビーチに住んでいて今年86歳ということだ。尤も心臓の手術をして相当に弱っているようだけれど。日本が負けた二度目の戦争というのはバブルの崩壊を差しているそうだ。
  • 「あゝ国民学校 敗戦・ある代用教員の記録」永井健児 朝日新聞社 1972:著者が1945年4月に助教として採用されて高崎市立東国民学校に赴任してから1947年の春に進学のために19歳で退職するまでの記録。永井の著作と思われるもの:「小津安二郎に憑かれた男—美術監督・下河原友雄の生と死」「活動屋児井英生」「教師は敗戦をどうむかえたのか」「十六歳の太平洋戦争—ある動員学徒の記録」