ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

JAPANデビュー

 NHKスペシャル・シリーズJAPANデビュー「第1回アジアの一等国」は4月5日の日曜日に1時間を超える番組として放送された。50年間の日本による台湾の植民地統治の歴史について語られたものだけれど、テレビの1時間13分というのは語る量としては大したことがないのだ、という思いを強くした。
 植民地支配というのは古今東西理不尽なものであることは議論の余地がない。その結果として良かったことも悪かったこともたくさん掘り出すことができるだろう事は容易に想像がつく。しかし、assimilationを前提とし、そう強要することが被支配民族を文化的に高める結果となるという言い繕いの傲慢さがまさに理不尽そのものであることは認めないわけにはいかない。これは当時の日本政府、軍部だけの問題ではなくて、どの国についても当てはまることであることは自明だ。今だから理不尽であり、当時だから理屈がつくという話でもない。
 朝鮮半島では「創始改名」を強要されたことは知っていたけれど、同じことを台湾では「改姓名」と呼んだというのは知らなかった。しかし、名前を変える事を要求された人たちの数は少ないとする証言もあるようだ。番組の中で語られていたところによると職場でも改姓名しないとプロモートされなかったようだ。
 『台湾との文化交流を目的に設立した団体(同会による)』「日本李登輝友の会」という団体がNHKに対し、「反日的と思われる発言だけを取り上げた印象は拭えず、日本の台湾統治時代を批判するため、台湾人の証言を都合よく操作し、「反日台湾」を印象付けるためだったのかとしか思えない内容」であるとして抗議文を送っており、それに対してNHKはエクゼクティブ・プロデューサーの名前で回答しているのだそうだ。
 台湾には戦後中国共産党に追い立てられた蒋介石が国民党を率いて乗り込んできた。日本から解放されたが国民党政府が支配した国家とされた。私は戦前の台湾には漢民族はいなかったのかと思っていた。台湾が今現在日本に対して友好国家かも知れないけれど、日本は中国の手前、台湾を認めていない。にもかかわらずほぼ友好国と同じ扱いとなっている。しかし、そのことと日本が50年間にわたって皇民化政策に基づく植民地支配をしてきたこととは矛盾することではない。
 台湾一中の元生徒だった人たちからのインタビューが日本に対して良い印象として持っていたことを語った部分が全面的に削除されたものであったという反論がされているのだそうだ。
 植民地化のおかげでインフラも整備された、縦貫鉄道も開通した、基隆の港も造られたという話は朝鮮半島でも、満州でも語られる。確かにそうだろう。しかし、果たしてそれらは植民地化されたからこそ実現したことであったのだろうか。
 それでは原子力発電所の開発が行われているから現北朝鮮政権には良い面もあったことを評価しなくてはならないということになるのだろうか(私は原子力発電所の建設を評価するつもりは全くないが)、などと馬鹿なことを考えてみたりした。

 私たちは他者と共有できる歴史を探り当てなければなりません。他者の歴史を知ることは自分自身を知ることでもあります。私たちはもはや正しく優れているのは自分で、間違っていて劣っているのは相手だと考えることはできません。世界に眼を向け、なぜ世界の人々はニッポンをこのように見るのか、理解しなければならないのです。
(番組の最後にフランス歴史学者パスカル・プランシャールが語った。)

 シリーズ・JAPANデビューの第2回は「天皇憲法(仮)」で、NHK総合テレビ5月3日(日) 午後9時00分〜10時13分の73分間であるが、どうやら大日本帝国憲法天皇との関係について語ろうとしているようだ。