久しぶりに浅草の松屋の地下で売っている崎陽軒のシウマイを食べたくて出かけた。どうせなら新仲見世のセキネでシウマイを買えばいいのに、なんだか無性に崎陽軒のシウマイを食べたくなってあそこにお姉さんがひとりで立って売っているのを記憶していたのである。その帰りにジャンボ宝くじを買おうと松屋の前の信号に立ったら目の前の景色が全然違う。一体どうしたのかと思ったら新仲見世のアーケードを掛け替えるそうで、来年の三月まで工事をする。とりあえず今までのアーケードを取り外したわけだ。
そうして見るとなんだかすっかり景色が変わってしまっていて、ひとつひとつのお店がむき出しになって、まるで裸にされてしまっているようななんだか恥ずかしい状況になっている。不思議なことにアーケードがあるとないとでは大違いだ。空が高い。
ふと感じたのはこりゃどこかの映画のセットの町並みか。あるいは全く逆の話になっちゃうけれどその辺のわい雑で雑然とした横町のような、そんな雰囲気もする。沿道の建物がせいぜい二階建ての建物しか目に入らないからかも知れない。これでまたアーケードがかかってしまうともうこの風景は見られないことになるんだろう。きっとまた新しいアーケードになるとその安っぽさに磨きがかかることだろう。
