ほぼ足りてまだ欲 その先

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岡田武史

 来日していたジダン岡田武史へのインタビューが朝日新聞に掲載されていた。どうやらインタビュアーは潮智史のようだ。彼はかなり昔から岡田武史との付き合いがあったと理解している。15年以上前に岡田と一緒にいる潮にあったことがある。このインタビューの中で岡田のナショナル・チームで掲げている「ベスト4を目指す」についても「フィロソフィー」についても触れられている。ジダンも「4強という日本の目標はかなり野心的かもしれないが、明確な目標を立てることで選手は頑張れるものだ」と語っている。
 実はこの記事を読まずに今日は家を出たのだけれど、夜には岡田武史の話を聞きに池袋に行った。立教大学の公開講演会があって、そのスピーカーが岡田武史だったのである。立教大学の関係者だけに向けてのイベントなのかと思ったら誰でもが入れるということだったので出掛けた。建物だらけのキャンパスの中で一番大きな千人収容のホールでやるのかと思ったらそうではなくて、8号館の一階の部屋だった。30分前にいったらもう後ろから5列目くらいにしか席を取れない。岡田の話が始まった時には壁にびっしり人が立っていたという満員盛況である。岡田は一頃講演生活を送っていたことがあって、さすがに人を引きつける。授業中の私語がうるさいとmixiのコミュニティーに書かれるくらいだというのに、約一時間の彼の熱気にあふれる講演中はだれもが彼の話に引き込まれていた。
 岡田はナショナル・チームではフィロソフィーと称して6つのことを話すそうだ。それは「Enjoy - Our Team - Do Your Best - Concentration - Improve - Communication」だそうで、そのひとつひとつを例を持ち出して説明していった。これは非常に説得力を持って学生たちの心に響いたのではないだろうか。
 「これくらいはまぁいいか」という気持ちでは何も向上に資することがない、なんでも良いから目標を設定してその為にはチャレンジしろ、諦めるな、スウィッチを入れろと鼓舞する。「じゃ、どうやって目標を作るんだ」と学生は質問する。私はここでがっくりと来てしまう。今までの一時間、君は何を聴いていたんだといいそうだ。しかし、岡田は諦めない。これはなんでも良いんだよ、君の生活のひとつのサイクルでも良いんだよ、それをやり遂げろと。
 もう5-6年ほど前に学生を前にして私も「こんなことはまぁどうでもいいかぁ」と妥協するのはもうやめよう、早くやめないと人生そのものを「こんなことはいいかぁ」と送ってしまうよ、といったことがあるけれど、その時の説得力と彼のような53歳になっても頂点を目指してもがき続ける男の説得力とでは天と地との違いはあるけれど、どうにかして若者たちに、若いからこそ発揮できる力を大いにつかって欲しいと思う。力はどうしても少しずつ衰えていく。
 それにしてもみんなで楽しく話している時の岡田からはとても想像のできないほど、広い引き出しから次から次に宝物を取り出して見せた。彼が取り出した「淵黙雷声」という言葉はどうやら昔から彼が得意にしている言葉だったようだ。