ほぼ足りてまだ欲 その先

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行ってみたい

 死ぬまでに一度で良いからウィーンという街に行ってみたいと思い始めたのは一体いつからだろう。それまであの辺の中世の香りが充分に残っている街並みなんて見たって、面白くも何ともないだろうし、なにしろ言葉が通じないところには行きたくないと思ってきた。地元では縁がありさえすれば年に何回かウィーンに人が出掛けていたんだそうで、そんな人たちが呼びかけるツアーすらあった。
 にもかかわらず全く興味なんてなかった。なんだか冬暗そうだし、夏は暑そうだし、治安がどうかも分からないし、周辺から来る観光客を狙うやばい輩も周辺から入ってきていそうだし、まったく興味もなかった。
 ところが、テレビをデジタル化してケーブルテレビにつなげてみたら、何本も、オーストリアハンガリーなんてところを案内するトラベル・ガイド番組がある。見ているとじっくり時間をかけてそうしたところに出てきた建物を見て見たいという欲求に駆られる。それを写真に残してみたいという欲望が出てきた。
 これはやっかいだ。何しろそういう欲望が芽生えたから育てればよいという筋合いのものではないからだ。
 じゃ、どうする。ハプスブルグにまつわる話を書いたネット情報やら書籍やらをチェックすることになる。これはまぁ順当な発想だ。しかし、問題はそこから先だ。どうも海外だけじゃなくて国内でも、相当に関心を持つ人がいるらしくて先日も「ハプスブルグ展」が東京やら京都やらで催されていた。カルチャーセンターの様なと頃に行くと「ハプスブルグの美術」とか「シシーのなんたら」というような講座が開かれたりしている。
 そういう方はしっかりとその時代を生きた人間を含めた知識欲から始まっておられる様だけれど、私の動機というものは、なんちゅうことのない、ただ建物を見て見たい、写真に撮りたいという単純なものだ。
 しかし、こりゃなんだ。なんの縁も所縁もない、言葉も分からない、文化的背景も殆ど分かっちゃいない。なのに、なんであんなところを見て見たいのだろう。奈良だってもう45年くらい足を踏み入れたことがないというのに。
 死ぬまであと何年なのかを誰かに教えて貰いたい。