ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

「ポピュラー音楽祭」


 昭和23年2月に設立されたという社団法人日本音楽家協会という団体があるんだってことを初めて知った。今の会長は民主党の石井一だそうで、それが主催する「ポピュラー音楽祭in Hibiya」というイベントがあって日比谷公会堂に行った。もうこのタイトル自体が歴史を感じさせる。なんたって歴史のある組織のイベントで、会場の日比谷公会堂は昨年80周年を迎えた施設でこりゃ正にふさわしい。中に入ってびっくりしたんだけれど、聴衆の殆どは私よりも年上の人ばかり。この種のジャンルの音楽はすでにこういう人たちにしか支持されていなくて、衰退の一途を辿ることになるということの象徴なのかも知れない。ほら、もうこのラインナップの中からカントリーがないじゃないか。
 長部正太が細川綾子のバッキングで出演。来日翌日の仕事で大変だったんだろうとは思うけれど、こちらは楽しませて貰った。
 15時から20時半頃までのイベントだったので、さすがに最初のハワイアン、シャンソンはスキップ。ラテン、タンゴ、ジャズを見た。
 タンゴで出演したのは「京谷弘司クァルテート・タンゴ(こちら)」で切れの良い、京谷のバンドネオンが実力派のメンバーをぐいぐいとひっぱる。こうした実力派が日本で活躍する場面はどんどん少なくなっているのではないかと思うが、このバンドは多分現地に行ったら充分活躍する場面があるんだろうと思う。
 問題なのは歌い手の方で、どんどん高齢化が進んでいて、というよりもこのジャンルに入っていこうとする若手がいなくて、お呼びが掛かる歌い手が多分変わっていないのだろう。中には日比谷公会堂よりも年上の歌い手がいる。残念ながら唄は体力の衰えと一緒に唄も劣化していく。アマチュアならばまだしも、プロとしては悲しい現実が突きつけられてしまう。人前で唄うということの限界を自身がどのように捉えることが出来るのかというのはかなりの課題だろう。その中にあって、タンゴの前田はるみは、年齢がどこまでいっているのかは知らないけれど、年齢を感じさせない声量と説得力で驚いた。正、今日のドレスは良くないと思うなぁ。彼女のタンゴは実はスペイン語シャンソンなんだなぁ。それにしてもどうして女性が歌う唄はどれもこれも悲しく暗いものばかりなんだろうか。
 どうしてもMCの人が気になってしょうがないけれど、これは自分だったらどうするかと云うことを考えちゃうからだろうか。そういえば最後の細川綾子の唄が終わった時、MCは全く登場せず、そのままだらだらと終わってしまったのはどうしてなんだろう。緞帳が下りるわけでもなく、「さよぉならぁ〜」もなかった。銀座のライオンでひとしきり呑み、深川のこぢんまりしたBarで呑み、最後の仕上げは地元のbarだった。