認知症が疑われる広島県内の女性(87)に対し、同県内の大手百貨店そごうで外商を担当していた50代の男性社員が、2008-2009年に貴金属や絵画など約680点、約7千万円の商品を売っていたことがわかった。女性は今年1月、認知症と診断され入院した。そごうは「認知症だとは気づいていなかったが、結果的に行き過ぎだった」と説明している。
女性の親族や関係者によると、女性は1999年に夫を亡くして一人暮らし。数年前から症状が進んでいた疑いが強いという。社員は女性宅に頻繁に通い、鍵も預かっていたという。 (Asahi.com 2010年3月28日15時0分)
この種の話では証券会社、リフォーム会社なんかでも時々こんな傾向のある営業の話を聞くこともある。高齢者から金を引っぱがすために最大に有効な手段は親身になっている接し方を繰り返すことだ。「あの人は良い人なんだよねぇ」というひと言を引き出したらもう半分くらいは成功だ。あとは“こんなことでわざわざ来てくれなくても良いんだよ“と思わせるほどなにかというと顔を出す。そうするとそのうちに家族よりも家族らしく思えてくる。半年に一回くらいしか顔を出さない、それも何とかして早く帰ろうとする子どもよりも何かといえば顔を出してくれる人の方が頼りになろうというものだ。
やり方が汚いけれど、マメな営業、足で稼ぐ営業の鏡といえば鏡だ。他の法人相手なんかだったら、いくら顔を出してもそんなの評価してくれない。ちゃんと評価してくれるお客相手の商売に頼りたくなるんだろうなぁ。
会社だって気がついていたに決まっている。全く同じお客に対してたった二年間で7千万円もの売り上げがあることの偏り方に気がつかないわけがない。とぼけているだけだ。
そごうは社員を外商担当から外し、調査している。広報担当者は「社員は女性が認知症だと認識していなかったが、結果として行き過ぎた販売だった。誠心誠意対応したい」と話している。(加戸靖史)
でもひょっとしてこのおばあさんは「親身になって接してくれる」ひとを2年間7千万円のギャラを払って雇っていたつもりだったのかもしれない。