ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

傲慢

内部告発うつ状態三菱重工社員の労災認定
 会社の不正行為を内部告発した後、仕事を与えられなくなり、うつ状態になったとして労災認定を求めていた三菱重工業社員の西村茂さん(56)(神戸市垂水区)について、厚生労働省の労働保険審査会が7月14日付で、労災と認める裁決をしていたことがわかった。
 裁決書などによると、西村さんは同社神戸造船所に勤務していた2004年7月、国土交通省認定の監理技術者資格を同社が不正取得させているとして、社内コンプライアンス委員会に投書。その後、担当業務がほぼなくなり、2005年2月にうつ状態自律神経失調症などと診断された。
 同審査会は、仕事がない状態を同社が放置したことを問題視、「心理的負荷は相当強かった」と指摘した。
 西村さんは、神戸西労基署に労災を申請したが認められず、兵庫労働者災害補償保険審査官への審査請求も棄却され、同審査会に再審査請求していた。
 西村さんは「会社の問題点が認められ、一つの区切りになった」と話した。同社は「コメントすることはない」としている。(2010年8月4日23時18分 読売新聞)

 詳しい状況がわからない。最近信頼感が薄れているとはいえ、言葉の定義は大丈夫だろうと思うからウィッキペディアを見ると監理技術者というのは「建設業法の規定により、特定建設業者が元請として外注総額3000万円以上となる工事を発注者から直接請け負う場合、現場に配置しなければならない技術者のこと」と書いてある。つまり、三菱重工がなんらかの建設工事を請け負うのに必要な資格で、多分英語ではproject managerのことを差すのだろうか。

監理技術者資格者証を取得するには、次のいずれかの資格が必要である。
 1級国家資格者:業種によって違うが、おおむね一級建築士、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、1級管工事施工管理技士、1級造園施工管理技士などの国家資格が必要である。関連した分野の技術士でも認められる。
 大臣特別認定者:大臣特認(とくにん)とも呼称される。特定の業種で経過措置で認定された資格者であるが、監理技術者講習を有効なまま継続して受講していることが必要である。1級国家資格を取得するまでの救済とされている。現在この新規認定は行われていないので新たに取得する事は出来ない。また資格者証には「認定」と記載される。
 実務経験者:指定建設業以外の業種においては、所定規模以上の元請工事に従事した期間を満たした実務経験者にも認められる。

 本人がこれに該当していたのかどうかわからないし、本人が指摘したのがどれなのかわからないけれど、いずれにしろそんな資格に満たないような経歴の持ち主をでっち上げて、彼が「こんないい加減なことをして良いのか」と指摘したに違いない。多分、その結果三菱重工神戸造船所の中では「変わり者扱い」されたに違いない。黙っていれば波風立たないのに、何を青臭いこと云ってんだよといわれていたに違いない。

 私が勤めていた会社でも空出張を乱発していた部長にそれを指摘した部下が飛ばされたのを知っている。そのおじさんはその部署に君臨していた。なにかを勘違いしていた。そのうちそのおじさんの部下までが似たような態度をとるようになった。しかし、私もその飛ばされた部下に同調することはしなかった。狡かったのである。
 しかし、この人は狡くはなかった。だから、会社に報復された。その結果精神を病んでしまったということだろう。しかし、神戸西労基署も兵庫労働者災害補償保険審査官も知らん顔だったというところがどうにも許せない。当然三菱重工神戸造船所の安全担当は日頃から労働基準監督署と顔見知りだったに相違ないし、いくらそれを証明する術はないといってもこの本人よりはどちらかといったら同じ側にいるであろうことは推定できる。会社と役所はそんなものだし、そういう関係を築くことが職務であるというポストがちゃんとある。だからこの場合会社はまさか本人が厚生労働省・労働保険審査会にまで持ちこむとは思ってもいなかったのだろう。
 今はもう、泣き寝入りで終わる時代ではなくなったのだ。とはいえ、まだまだ泣き寝入りしている人はこうして最後の最後に自分の正当性を勝ち取る人の数に比べたら比較にならないほどいるはずだ。ご本人のこれまでのご苦労をねぎらいたいと思うと同時に、「コメントすることはない」とこの期におよんでも傲慢な態度に終始している三菱重工業および神戸造船所にはあきれ果てる。「することはない」ではなくて、「コメントしなくてはならない」のだ。
 ところで国土交通省三菱重工業社内に於ける「監理技術者」についてその正当性を審査しなくて良いのだろうか。はたまた、この資格の審査そのものについて見直す必要はないのか。

 こうして考えると、制度やシステムが作られても、キチンとそれが管理されていないのだから、ないのと同じだ。人手がないからそんなことはできないのか?それではそんな制度やシステムはないのと一緒だ。社会保障制度も作られていても、払っていない人から徴収する手もないし、キチンと登録されているのかいないのか判断する手もなくて、誰が生きていて誰が死んでいるのかすらわからないシステムなんだから、この程度の話はしょうがないのか。