ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

長部正太+後藤芳子

 一昨日に続いて岩本町のTUCで後藤芳子(vo)+長部正太(pf)+山田晃路(b)+二本柳 守(ds)というメンバーのライブ。こういうゆったりした、リラックスする音楽はもういうことがない。来られていた方の一人が後藤芳子が1972年にRay Brownと録音したというアナログ盤をお持ちになって、後藤芳子のオートグラフを貰っていたけれど、一体どこであれを入手したのだろうか。
 後藤芳子は「I Left My Heart in San Francisco」を唄い、この歌の作曲者にあった話をまたしていた。
 今では見事に寂れてしまっていてちょっと考えられないけれど、60年代のSan FranciscoはBroad WayのColumbus St.とMontgomery St.の間に何軒ものJazzの演奏を聴かせる店があって今週はあっちで誰が出ていて、こっちは誰だと、賑やかだった。週末になると合法滞在でも非合法滞在でも、若い日本人のボーイズがどこからともなく集まってきて、Columbus St.の角の三角のコーヒーショップでたむろったりしていたけれど、時たま意を決してジャケットを着てそうした店の扉をくぐった。El Matadorでは入ろうとしたらパスポートを見せろといわれたけれど、Kenny Burrellのサインを貰ってきた。一番入ったのは多分Basin Street Westで、覚えているだけでもB.B.Kingは前から三番目で見て握手をして貰った。Miles DavisやWoody Hermanは多分長部正太とBreakfast Showで聴いたんだと思う。
 今はどうなっているのか知らないけれど、当時は午前零時を期してお酒をサービスしてはいけないという法律になっていて、それを過ぎるとコーヒーとサンドイッチを注文して、本当にそれを食べながら聴くのである。ま、それは構わんけれど、いつも疑問だった。一体、どこのアメリカ人が朝からサンドイッチを食うというのだろうか。殆どの人間はシリアルに違いない。
 今日一緒になった友人は長いこと欧州で暮らしてきたのだけれど、彼がいうには彼の地の住人たちはホット・ミールは日に一度しか喰わないよというのだ。そうして考えると日本人というのはきっと消化器に大変に良い食生活を送っているに違いない。話はどこに行くのかわからない。
 当時、ロックはどうだったかといったら、ここでも何度も書いているように、なにしろBill GrahamのFillmore Westが全盛の時で、こっちはMarket St.だ。後にはあちらにもJazz Playerが出演したということだ。
 今日はとてもリラックスした演奏を楽しむことができて、かつての楽しかった頃を思い出してしまった。