昨日の仙台で行われた政府のエネルギー・環境会議の意見聴取会というのはたった9人の「抽選」で当たった発言者が自分の意見を発表するというだけの会だったそうだ。これは埼玉で始まり、これが全国で11回やるうちの第2回目。2時間一方的に意見をいうだけ。その主張に対しての質疑応答があるわけではなくて、まぁいってみれば成人の日にかつて良くあった「青年の主張」みたいなもの。しかも、その意見発表者はエネルギー・環境会議の意見聴取会が設定した三つの将来像から一つを選んで発表するために各将来像の支持者各3名に限られている。つまり全国11カ所合計でわずか99名の意見を聴取するというだけのことだ。これで「広く国民の声を聴く」ことができたということにしようということになる。これ以外の選択肢は許されていないという点にもまず違和感がある。
学校の試験の三択問題じゃないんだから。
仙台で発表した9人のうち2人がなんと東北電力関係者。一人は現役の執行役員企画部長、もう一人はOBで東北エネルギー懇談会の幹部というあからさまな人選。なおかつ9人のうち3人が仙台での聴取会にも拘わらず首都圏からわざわざこの聴取会にやってきた人だという。
東北電は河北新報社の取材に「企画部門などに電子メールで意見聴取の開催を知らせたが、参加は求めていない。(企画部長は)個人として参加しており、やらせではない」と説明した。
主催者によると、意見聴取会には応募者175人のうち抽選による105人が参加。意見発表希望者は93人で、将来の原発比率3案について、さらに抽選で各案3人ずつを決めた。93人の内訳は原発比率「ゼロ」が66人、「15%」が14人、「20〜25%」が13人だった。(河北新報2012年07月16日月曜日)
当然の如く東北電力関係者は「20〜25%」の13人のうちの2人だということで首都圏からやってきた人は93人のうちの3人だ、ということになる。
細野氏は終了後、記者団に「9人は抽選でランダム(無作為)に選んでおり、いろんな方がくるのは仕方がない」と説明。ただ、福島市で開く会については「福島は、特別しっかりと声を聞かないといけない場所。政府として工夫する責任がある」と述べた。(朝日新聞2012年7月15日23時45分)
政府関係者は必ず「作為はない」と発言するのに決まっているだろう。「いや、申し訳ない、ばれっちゃいましたか」というはずもない。たった93人から抽選した結果がこんな事になる確率は大変に低いはずだ。首都圏在住者をここでは外すべきであるのはいうまでもない。
検察審査会の抽選といい、この政府がらみの「抽選」は札付きだ。
こんな事を公然とやってまだ大丈夫だと思っているという時点でもうすでにずれている。そんなことでうやむやで終わることができた時代はもうとっくに終わっていることに気づかないのか。