ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

良い人じゃない

 昔から美人薄命、ということをいう。これはあんまり好きな言葉じゃない。じゃ、何かよ、長生きしてんのは不美人だってことになるのか、じゃ美人の定義ってなんだよ、という話になる。
 「良い人ほど早死にする」という概念が妙に普通に通用することになっている。それは誰が書いたのか知らないけれど「悪い奴ほど長生きする」という言葉の裏返しだということになるんだろうけれど、冗談に良くこれは引き出されてくる。
 「俺はもうそろそろ寿命が尽きそうな気がするよ」というと返ってくるのは必ず「そういうこという奴に限っていつまでも生きてんだよ」という言葉である。そういう言葉の中にはきっと「そんなことをいうのはやめてよ、縁起でもない」という気持ちが込められているんだろうと感謝を込めて推測している。
 しかし、もうそろそろそれも通用しなくなってきている。というのはもう65歳近くになると、この歳で死んでもちっとも「早死に」じゃないからだ。
 私の友達の中にももう何人も「早過ぎるなぁ」と慨嘆した別れがあった。前日までなんでもなかったのに、共通の友人から電話を貰ってどうしても納得ができなかった友人もいれば、外国に長期出張にいくとその時に限ってメールをくれたのにそのまま帰ってこなかった友人もいる。
 彼らに比べたら、私は早くももう65年も生きてきた。そりゃ、95歳でまだ全然元気に仕事をしている連れ合いの叔母さんや聖路加国際病院の日野原先生のように100歳過ぎても九州まで講演に行ったりしている人もいる。しかし、そういう人たちは非常に例外的だから目立つわけで、絶対的人数は増えているんだけれど、そんなにあっちこっちにいるわけじゃない。そこを間違っちゃいけない。
 だから、やることはやっておかないとあとがない。もはや「早死」なんかじゃないからね。