今度のベンガジでの米国大使を含む4名の殺害事件は、これまでアラブ社会、つまりイスラム社会に与えてきた先進国による上から目線へのしっぺ返し、という色合いがなきにしもあらずだと私は思ってきた。リビアも含めたアラブ諸国の既存体制への挑戦は西欧諸国もかなりな部分で支持していたような展開だったし、エジプトの若者たちやリビアの反カダフィ勢力の中心人物は日本でも好意を持って報じられてきた。
しかし、今度の行為の発端がイスラムが連帯を持つ唯一の根本であるムハンマドを面白おかしく描いたことにあることは間違いがないけれど、この種のプロテストは留まるところを知らない。行くところまでいってしまう可能性がある。オバマはかなり深刻に悩んでいることだろう。
しかし、私はこれはイスラム各国対米国に留まらない恐れがあると懸念している。というのは中国国内の反日行動がこれまでは組織化された行動のように見えているけれど、もし、イスラム各国に於ける行動が中国各地に刺激となって報じられた時に、それくらいのことをやって何がいけないのか、というきっかけにならない可能性がないとはいえないだろうということなのだ。
愚かな行為は愚かな行為を助長する。
