ほぼ足りてまだ欲 その先

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こどもの日

 5月5日は子どもの日だとして、菖蒲湯に入り、粽を食べてお祝いをしたのは一体いつ頃までだっただろう。もう全く記憶にない。だけれども、わが家の古い家族アルバムを紐解くと、もうとっくにセピア色になってしまったモノ・クロームの写真があって、そこには私が生まれた家の赤土の庭に無愛想に立てられた節だらけで、皮を剥いだだけの丸太の上に翩翻と一匹の鯉のぼりが泳いでいる。
 私はふたりの娘のあとに生まれた男の子だったから、おふくろの言葉を借りると「お父さんがそれはもう喜んでねぇ」手に入れてきた鯉のぼりだったのだそうだ。なにしろ戦後直ぐのことだから、かなりの値段がしたことだろう。
 そんなことまでしたのに、大して立派な身体にも育たず、大した才能も開花せず、いつの間にかこんな歳の爺になってしまったのが親父やおふくろにばれなかっただけでも、ホッとするというのか、ある種の親孝行かも知れないといってしまうと、親孝行っていうのはいろいろなパターンがあるもんだと、気が楽になる。