予備校

　代々木ゼミが経営を縮小するといっている。ほとんど自前の土地である地方の校舎を閉鎖してテナントビルやホテルにするんだといっている。予備校の三強の一角が崩れたという。後の二強は河合塾と駿台だと。河合塾は浪人の生徒数が減っていないけれど、代々木ゼミは激減しているらしい。
　50年前に私が浪人していた時、予備校で入試があったのは駿台だけだった。そしてあそこを受ける連中は東大を始め国立志望の浪人ばかりで、私たちのような不勉強ものはとうてい受からないといっていた。私はもうとっくの昔になくなってしまった水道橋の研数学館という古い元はといえば専門学校だった予備校に通って、煙草とジャズを覚えてまったく浪人した意味がなくなってしまったのだけれど、当時代々木ゼミナールはそれまでの予備校のイメージを覆す一大転換を果たして原宿に進出した。高田馬場の早稲田学院、早稲田予備校、代々木の代々木学院なんてのが定番で、栄進予備校が盛んにラジオで宣伝した。河合塾なんて聞いたこともなかった。そういえばZ会の通信添削もやったことがあるけれど、あれもまだあるらしい。細い万年筆で添削されてきたことを覚えている。
　しかし、浪人して点数を稼ぐには真剣にやらなきゃダメだったなぁ。真剣に大学で勉強したのは50歳を過ぎてからだからなぁ。遅すぎた。