プロパガンダ・ラジオ: 日米電波戦争 幻の録音テープ (単行本)
- 作者: 渡辺考
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/08/25
- メディア: 単行本
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特に驚いたのが、アイヴァ・戸栗が「ゼロ・アワー」に起用された理由である。これまで様々な書籍や資料を見てくると、彼女は必ずしも良い声でなかったというよりも、悪声だったと表現されている。中には蛙が潰されたような声だったとまでいう人もいる。それなのに、なぜこのプロパガンダ放送のアナウンサーの一人として採用されたのか。
この番組のスクリプトを書いていたライターの一人は例のチャールズ・カズンズだけれど、彼はそのナレーションの中にネイティブな日本人ではわからないようなニュアンスで他に伝えたいと思うことを放り込んでいこうと思った。しかし、日系二世とはいえ、日本人であるそれまでに担当していたアナウンサーでは、それに気がつかれてしまう恐れがある。しかし、おばさんの病気見舞いで来日してそのまま取り残される羽目となり、官憲からしつこく日本国籍を取得しろといわれても頑固に米国籍を手放さずにいたアイヴァ・戸栗は、日本よりも自らの母国を大事にしてきたような女性だから、必ずや協力的となるだろうという読みだったというのである。これは腑に落ちるではないか。
- 作者: 山本武利
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/05/28
- メディア: 単行本
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