ほぼ足りてまだ欲 その先

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東京ローズ

 テレビ朝日の「ザ・スクープスペシャル」が「消えた東京ローズを追え 戦後65年目の真実」という番組を放送した。今頃敢えて東京ローズを取り上げるわけだし、タイトルに「真実」とあるので、興味津々だった。
 殆どはこれまでに聴いたことのある人たちの名前で目新しいものがなかったのだけれど、登場人物の中に「東京ローズアメリカの愛国者」の著者、フレデリック・クロースという人物が出てきて、これまでに見たことのない人物だった。一体誰だろうと検索してみると、今年の2月に刊行された「Tokyo Rose / An American Patriot: A Dual Biography (Scarecrow Professional Intelligence Education Series) 」の著者、Frederick P. Closeだった。

Tokyo Rose/ An American Patriot: A Dual Biography (Scarecrow Professional Intelligence Education Series)

Tokyo Rose/ An American Patriot: A Dual Biography (Scarecrow Professional Intelligence Education Series)

 私はこの本をAmazonで見付けた時に表紙が「Tokyo Rose」と名前をつけた爆撃機の前に並んだ搭乗員たちの記念写真だったから、多分そういう名前をつけた搭乗員たちの活躍戦記かなんかだろうと、全く興味を示すこともないけれど、一応「wish list」に放り込んでそのままにしていた。尤もこれがもう少し安いか、私に充分な余裕があれば即座に入手していただろうに。
 番組ではFBIが保存している文書の中から東京ローズたる、アイヴァ戸栗郁子に関する書類、約500ページを発見したと報告しており、彼女が国家反逆罪として起訴され、有罪に持ちこまれたことをトルーマンの改選選挙との関連で語り、日本から検察側が呼んだ証人たちについて語っているが、いずれもこれまでの資料の中で既知であったことだった。
 敢えて、これまで知られていなかった部分といえるのは番組の一番最後に明かされたのだけれど、公文書館に残されていた30時間分の「ゼロアワー」の録音盤から起こしたコピーを音響研究所に持ちこんで元ラジオ・トーキョーでアルバイトとして働いていた男性に誰の声かを判別させたという点だ。
 6人の女性の声をノイズを消すことによってより鮮明にし、ついにそのうちの一人を1949年7月18日に日本で酔った米兵が運転するジープによってひき殺されてしまった須山芳枝であると判明する。
 東京ローズはアイヴァ・ダキノ・戸栗郁子一人ではなくて、6人いた女性アナウンサー全部に対してつけられた愛称だったのだ、というのも既知の情報であった。
 もう戸栗郁子がなくなってから4年になろうとしている。時が過ぎ去るのはあっという間で、知らないうちに人を老いに追いやり、そのうち情報は誰からも顧みられなくなるのかもしれない。