ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

温泉

寒い冬は一度で良いから温泉に行きたくなる。しかし思い立ったときはすでに遅くパック旅行は一杯だったり、催行中止になっていたり。てんで湯河原へ自力で出かけてきた。本当は鎌倉にでも立ち寄って、と思っていたのだけれどあいにくの終日雨の予報。
 それじゃ、と三島まで電車に揺られ、かねて羨ましく聞いていただけのうなぎ屋へ行く。大評判の店で、下から三階までお客さんがびっしりと。それはそれは壮観でございます。そろそろ正午を30分ほど前に到着して、waiting listに名前を書いていると、店の前には7-8人の人がいたというのに、程なく、そうですねぇ15分ほどで名前を呼ばれ、意外と早いんだなぁと思って中に入ってみますると、名前を呼ばれたくらいで喜んじゃいけないのでございますよ。下足で靴を脱ぎまして、「どうぞ!」と若い店員さんに案内されるがままに上がっていきますと、どんどんこれが三階へ上がっておりました。そうですねぇ、20畳ほどはあるような座敷でございましょうか。10人は座れそうな座卓が4台。いや、座敷は苦手でございます。とはいいながらトイレをお借りしたり、お茶を飲んだり、しているうちに店員さんが肝吸いと漬け物をお持ち下さいます。程なく、おウナの登場でございますな。
 これが一番お安いうなぎの蒲焼2枚でございます。こういう食べ物もここまできたらちょっと常軌を逸しているといっても良いのではないかと思ってしまいます。と、思いつつやめられない人間の性でございます。鰻もふっくら焼けておりまして、なかなかなんですが、唯一、ご飯がどうも炊けたばかりのようで、熱々なんですが、蒸らしが足りないイメージ。つまりチョイベチャ気味なんでございますよ。これ、いけません。ふっくらご飯がよろしうございます。
 私の個人的好みから申しますと、蒲焼のタレってのは十分練れておってですね、これだけでもご飯がいただけなくてはなりませぬ。(今思い出しただけでも、よだれが出そうです)。ここはちょっとあっさりめな上に、ご飯にはタレが十分にかかっておらないというのが現状でございます。もちろん卓上には追いタレがおいてございますが、これをかけても、生(き)の味わいがいたします。
 その点でいいますと、私の好みから申し上げると、まぁまぁのところですが、それほど高い評価にはなりませんでした。しかし、滅多に頂けるものではございませんので、次回、チャンスが巡ってくるかと申しますと、なかなか予想が立ちません。
 十分お腹を満たしてから、腹ごなしに三島大社を目指しますが、通りに面したお店がみなさんずいぶんお元気でびっくりします。わびしくなってしまった地方都市という風情は全くしません。それはむしろ駅前の方です。時として、鉄道の駅前よりもちょっと歩いた先の方が盛っているという地方都市を見ることがございます。秋田なんてその典型ですが、盛ったところまで歩いても結構あるんじゃないか、というものですが、三島の街もその例にもれませんねぇ。駅前に立つと、確かに以前ここに立った記憶がございます。しかし、いったいそれがいつのことだったのか、思い出せません。ひょっとすると伊豆箱根鉄道の本社へ挨拶に行った帰りに、この駅前で昼飯でも食べたのかもしれません。
 さて、三島大社は、それはそれは立派な神社でございました。私は神社はあちこち参りましたけれど、基本的には全く神道に暗いですから、この三島大社という神社がどのような位置にいるのか知りません。雨上がりの道を近づいていくと、いや、大きな神社なんだというのがよくわかります。何しろ石垣が大層立派で、インカ帝国の技術もかくやというほどの石垣です。立派なお庭には大きな鯉が泳いでいて、これがうろこを洗います。すると、ザッブゥ〜ンと水が上がります。トラウトの類がライズするかのように、ジャンプするんです。こんなの初めて見ました。
 三島はあちこちに湧き水が出ていますから、とても気持ちの良い街です。これは夏場も暑さを忘れようというくらいのものではないでしょうか。高校時代の同級生の一人が川崎から三島に引っ越して、そのまま暮らしていると聞いて、不便じゃないの?と聞いておりましたけれど、いやいや、恐れ入りました、私もこの街は気に入りそうです。
 熱海で乗り換えて、湯河原まで戻ってきました。今日の宿はいわゆる「奥湯河原」という温泉地です。どうやって宿を選んだかといったら、もちろんネットです。食べ物が美味しくて、お湯がいい、という選択肢で選んだ結果です。それでも自分では泊まったことがあるわけではありませんから、不安いっぱいです。
 到着してみると、予想通り、古い建物でした。あぁ、やっぱりなぁと思っていたのですが、チェックインから、カウンターではなくて、応接セットに座って、係りの方からご説明をいただきました。斜面に建った古い宿なので、階段だらけですが、どうやらリファービッシュにあたって料理と風呂に集中したようです。私たちの部屋は次の間つきで広いのですが、畳はとうに寿命が来ているようですし、ワードローブの扉は油断すると自然に開きます。
 大浴場とコンパクトな古代檜風呂が男女入れ替えで使われる風呂ですが、これは綺麗になっていますし、お湯がもちろん掛け流しで、入っていてとてもリラックスができる良いお湯でございます。
 夕食は創作イタリアンとでもいうべきものでございました。シニア向けヘルシー魚メニューなるものを選択しましたが、これで十分でございました。それでも、こんなに若い人たちを雇っていて、本当に大丈夫なのでしょうかねぇ。