なにしろ橋之助が芝翫を襲名して、息子三人がそれぞれ橋之助、福之助、歌之助を襲名して歌舞伎座で襲名披露だってんですな。こうやってみんな息子に名前を譲っていくわけだけれど、いくら親父の名前を襲名しても、いつまで経っても若いときの名前で呼んじゃう分けよ。
うちでは今でも染五郎といったら親父の方のことをいっているし、兄弟で「野バラ咲いてる」って唄っていたのは誰だっけ？あぁ、染五郎だよ！という。あの時は染五郎だったんだからそれで良いわけだけれど、今でも彼を幸四郎だなんていわれたって、親父さんのことしか思い浮かばない。
挙げ句に今度の襲名の直前に、橋之助が京都の芸者さんかなんかと浮き名を流したもんだから、大変だよ。あれで名をあげたのは三田寛子だったよねぇ。夫のことなんかよりも、息子三人のことを宣伝しまくり、すっかり梨園の奥様で大活躍。
それにしても可哀想なのは三人の息子でございますなぁ。親父のあんなところを見ちゃったんですから、さぁ、俺たちもなにをやっても良いんだぞと誤解しちゃうわけでございますなぁ。それでなくても、何かというとチヤホヤされちゃうわけですから、どんどんその気になっちゃうわけで、まともな環境に育つわけがない。
そういえば勘太郎と七之助兄弟も酔っ払って事件を起こしたことがありましたよねぇ。
