ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

このぐらいなら

 テレビでトロント大の行動心理学だか行動経済学かなんかの女性の先生が面白い論文を書いたと紹介していた。2014年に放送された番組「世の中はうそと不正でできている?」の再放送だ。「バレないと思えば大半の人は不正を働く!」というわけで、ボストンのM.I.T.の学生を使った実験をする。
 学生にほんの10分の作業で10ドルの報酬という謳い文句で学生を集める。それを二つのグループに分け、同じ作業をやらせる。それは9つの小数点二位までの数字のうち、足して10.00になる組み合わせを見つけなさい、という簡単なもの。
 一つのグループは終わったらそれを前の採点者に持っていき、採点して貰う。その結果だけを聞いて次の離れたテーブルに行っていくつ正解したかを申告し、一問につき50セントを受け取る。このグループの正解数は平均して3.4。
 もう一つのグループは自己採点をし、その解答用紙を前に持っていってシュレッダーにかける。その上で、テーブルに行っていくつ正解したかを自己申告して一問について50セントを貰う。本当にいくつ正解したか、本人以外にはわからない、という「自己申告」の状況になると、その正解数は6.2と跳ね上がった。つまり、自分以外にわからないことが確実になると、その上、一問あたりが50セントという子どもの飴代にも足りなさそうな単価となると、いくら優秀といわれる学生達でも「ま、いんじゃね?」と割り切っちゃうんじゃないのだろうか。
 その上、この「ま、いんじゃね?」の自己申告によってもらえるものを、あとで現金に交換できるチップにしてみたら、あっと驚く正解数が平均9.4となったというのだ。カジノで現金で賭けさせることをしないでチップを使う理由の一つはこれだというのに、あぁ、そうだ!と膝を打つ。金を賭けている気がしなくなってくる。パチンコもまさにこれだ!
 会社のバーチカル・ファイルを三枚もらってきてうちで使っていたら、遊びに来た新人女性社員がそれを見つけて「あ、会社の備品じゃないですか!」と大声で指摘して赤恥をかいたことがあったことを思いだした。あれだって多分一枚10円は確実にしていただろう。30円の横領だ。耳の痛い番組だった。