ほぼ足りてまだ欲 その先

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同級生

 その昔、うちの娘がまだ中学三年生の時、彼女が通っていた日本人学校の同学年生徒はわずかに7名しかいなかった。多くの子ども達は中学二年生の時に日本へ帰り、受験に備える。親の方針で、残ったのが7名だけだった。そのうち二人は現地校にそのまま進んだ。
 彼女の爺ちゃん、つまり私の義父がとうとう末期を迎え、娘であるつれあいは帰国して父親につきっきりになった。うちには私と娘の二人だった。毎朝お金を渡して、昼飯を彼女は学校のtuck shopでサンドイッチを買っていた。弁当じゃないから、同級生連中はどうしたのかと思うし、母親同士の連絡があるから、同級生は全員が娘の爺ちゃんが危ないというのを知っていた。で、そんな日、同級生達が何かいいたそうにしていることに娘は気がついていたのだそうだ。そのうち、一人が意を決したように、娘にいったそうだ。「大丈夫だよ、きっと爺ちゃんは回復するよ!」と。
 程なくして、日本から私の職場に電話があって「ダメだった」ことを知った。即座に職場を放棄して娘と二人で、帰国の手配をする。独断でその手配をしたと難癖を付けられたけれど、義父とはいえ、自分の親の死に際してのアレンジにケチをつけるような職場は放り捨てても良いやと、この時決断した。
 彼ら7名は卒業してちりぢりバラバラになっていったが、娘は未だにその時のことを忘れていない。