ほぼ足りてまだ欲 その先

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勤め人

 私も昔は大企業の勤め人でした。もっとも今はもうこの企業は生き残っていません。メーカーのくせに生き残れず、構造改革が必要だという業界の中にあって、吸収合併されてしまいました。 
 30代の頃は怖いもの知らずのように、世の中を舐めていました。そんな社員ばっかりだったからこんな結果になったといっても良いかもしれません。当時知り合った新聞記者のひとりが、今は孤高の評論家となって、一目置かれる存在になっていますが、当時彼は新聞記者に成り立てでした。
 私が長ずるに及んで、その吸収合併寸前にその企業を辞め、学徒の道を辿ったのも、その企業の中にいて世の中があまりにも不思議なことに充ち満ちていたのが理由なんだけれど、30代の頃はその世の中の不思議のまっただ中にいました。しかし、段々、正義とはいえない企業思想に嫌気がさしていました。
 その企業を辞めてから何年か経って、ある集会に顔を出したら、そこに押しも押されもしない存在となりつつあったかの元新聞記者に遭遇しました。で、ゆっくり話したいなと思ったので、「お久しぶりですねぇ、一献如何?」とお誘いしたら、体よく断られてしまいましたが、彼の目の中には明らかに、なんであんな企業にいた奴が今の自分に近寄ってくるんだろうという色が浮かんでいました。つまり、彼にしても私を今はもう既になくなった、背中に背負った看板で判断していた、ということでございます。
 世の中は不思議なんだぞ。