ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 小学校に上がったばかりの頃、うちにはベージュ色をした、雑種のメリーという犬がいたんです。どこからやってきたのか、拾われたのか、誰かから貰ったのかわからないのだけれど、彼女は気がついた時にはいたんです。小学校3年の時に、私が陽転して三ヶ月ほど四畳半にほぼ隔離状態で寝ていた頃、うちに秋田犬の子犬がやってきたんです。多分父親がどこかから貰ってきたのか、買ってきたのか。こいつは大きくなったらガンガン引っ張る犬で、散歩に行くのは父親以外には到底無理。オヤジが溺愛していました。一方メリーはというとなんだかぞんざいな扱いを受けていたような気がします。小学校4年生の時に、私たち家族は全員で清水へ引っ越していき、秋田犬は連れて行きましたけれど、メリーは残されて、留守に引っ越してきたオヤジの従兄家族に養われることになりました。多分彼女はとても心細かったんだろうと思います。だって、急に慣れ親しんだ飼い主家族がいなくなってしまったんだから。3年半経って帰ってきた時に、メリーはもういませんでした。メリーがどうなったのか、寿命が尽きて他界したのか、どこかへ貰われていったのか、それとも一人で離れていってしまったのか、誰にも聞いてはいけない雰囲気だったような気がします。彼女の写真は全く残されていません。
 今から考えると、60年ほど昔のことですが、最後の彼女の気持ちを考えると、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。