そういわれてみると、うちのおふくろの書棚には田辺聖子や瀬戸内晴美といった作家や沢村貞子のエッセイ本といった類いが結構刺さっていたことを思い出す。元はといえばオヤジの本棚だったのだろうけれど、硝子戸のついたその本棚はどんどんオヤジの本を侵食しておふくろの本が増えていたのではないかという気がする。気がするだけで本当のところが良くわかっていないのは自分はその類いの本に全く興味がなかったからだけれど、牧野富太郎の牧野日本植物図鑑やら茶道具の写真集みたいなものがドカッと入っていた。今から考えてみると、あの辺をごっそり持ち帰ってしまっておけば、今時結構なものになっていただろうと非常に残念だ。
ところでNHKの朝ドラになっていた「芋たこなんきん」が藤山直美演じるところの田辺聖子の物語で、BSで再放送がされるらしい。大阪ものはあんまり興味がないけれど、多分出演者が藤山直美の他に岸部一徳やら國村隼といった関西出身の俳優でガチガチの大阪ものだろう。かつて藤山寛美の松竹新喜劇がしょっちゅうテレビで中継されていて、あの辺の芝居がこびりついているけれど、「涙と笑い」はもうほとんど辟易だ。それでなくても、ついティッシュに手が伸びる。だから、この種のものは録画で夜中に一人で見るしかないので、面倒くさい。「カモカのおっちゃん」ってなんだよ!意味分かんねぇよと思っていたんだけれど、さっきテレビで國村が「ほな、カモカ!」噛んでまうぞ、というようなニュアンスでといっているのを聞いて、なんだそっちかよ!と今更驚いた。田辺聖子の終戦近辺の日記というものが出版されているそうである。