ほぼ足りてまだ欲 その先

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跡継ぎ

 サラリーマン家庭では全く関係がないけれど、自営業ではこれだけ少子化が進んでくるとその商売の後継者問題が非常に頭が痛いだろうと推察される。後継する人がいなくて店を畳むというケースはいったいどれだけあるのだろうか。
 帝国データーバンクの調査によると「2021年の全国・全業種約26万6000社における後継者動向は、後継者が「いない」、または「未定」とした企業が16万社に上った。この結果、全国の後継者不在率は61.5%」という。これでも前年よりは数字が良くなったといっていることに驚いた。
 つれあいの実家は自営業だけれど、たったひとりの子どもが大学を中退してあとを継いで安泰だけれど、そのあとはどうだろう。農業の現場はもっと深刻だろうことは察するにあまりある。
 農水省のHPによれば、「総農家数は490万戸(1995年) → 334万戸(2005年)→ 216万戸(2015年) → 175万戸(2020年)」で、25年間に35%になってしまっている。農業就業者の年齢構成も「40歳以下が11%、60歳以上が80%(うち65歳以上70%)」だというんだから先細りもいいところだ。集落営農や、企業化を国はいっているけれど、儲かる農業にしないと継続されないとすると、生産品に偏りが現れたりしないのだろうか。
 
 こんなことを考えたのは、実は日曜日の夜に見ている「ぽつんと一軒家」の影響だ。鳥取の山奥の一軒家に行って見ると、山の中の開かれた一帯は40数年前の天災で被災した梨農家のために国が開拓した入植地だったが、当時入植したのがわずか三軒でそのうちの一軒。しかし、9000坪の果樹園に植わる1500本の梨の木を雪の中選定作業をするのは当代の古希を目前にした男性わずかひとり。毎日麓の自宅から通勤営農しているというのだ。
 この番組を見て「あぁ、あとを継ぎたいなぁ」と思う若者がいたとしても、その9000坪を購入して始められる人がいるだろうか。小作で梨作りを続けていく人がいるだろうか。企業が参入するだろうか。それが実現しなかったら、1500本の梨の木はそのまま朽ちていくことになるのだろうか、と考えてしまったのだ。

 だから、この番組は日本の縮図を表している貴重な番組なのだよ。

 そういえば、つれあいの親戚に「桃農家」がいて、毎年二度ほど送ってもらうんだけれど、これをやっているのはもう80歳を過ぎた従姉なのだ。もうやめるか、もうやめるかと思いながら毎年電話して送ってもらっている。彼女が辞めてしまったら、頼む相手がいなくなる。