天気予報がそういっていたから昼になっても上がらない気温には別に驚きはしなかった。
しかし、風が強かった。
冷たかった。
上野の山は木立の中で新聞記事で読んだのだったか、確か韓国系ではなかったかと思うけれどキリスト教系の食事提供集会が行われていた。風の強いときは木立の中であれば多少楽かもしれないが、以前偶然に遭遇したときよりも俄然人の数が増えていた。
確かに生活に困った状況にいる人は増えていることを実感する。
そういえば山谷に防寒具を届けたことを思い出した。あれっきりだ。寄付を送金したくらいだ。
上野動物園のパンダ、シャンシャンが中国に空輸されたそうだ。
そんなテレビニュースを見ると、殆ど泣いているおばさんたちは真っ黒い格好をして長いレンズの付いたカメラを持っている。ガラス張りのパンダ舎の撮影をする時に自分が反射しないように、黒い格好をするんだと聞いた。
噴水は風で水滴が散らばるからなのか膨らんで見える。
今日も多くの人たちがあっちへこっちへ歩いていて、「小松宮彰仁親王像」と書かれた馬に乗った軍人風の銅像の横にカンサクラが一本、満開の花をつけて春が来るぞぉ〜と誇っている。
脇へ降りる道を不忍池の方へ降りていくと、五條天神社の鳥居のすぐに一本河津桜があって、こちらも満開。メジロのつがいが来ていたのに、おじさんがかわづさくらにやたらとちかづいたら、「チッチ」と鳴いて飛んでいっちまった。こちらの境内にはしだれた梅も、白い梅も満開で、そりゃ、まるでここだけが春の塊のようである。
先日、ネットで見た、不忍池から流れ出ていた忍川に架かっていた3つの橋の遺構を再現したものが下町風俗資料館の南側にあるというので、これを見に行った。このあたり、中央通りに面して4階建ての小さな甘味処があって、この店の名前が「みはし」という。経営者の名前は佐藤なのに、なんでこんな名前なんだろうと思っていたのには、こんなわけがあったんだと、氷解したのである。「みはし」はここが始まりだけれど、今はあちこちにお店が出ている。
近所の歩道横の植え込みにある沈丁花がたくさんの花つぼみをつけていて、小さな花がちらっと開いて、あの春の香りをおすそ分けである。