今日借り出してきた分厚い本は、みすず書房から出たウィンストン・チャーチル著「第二次世界大戦 1 完訳版」という。74年ぶりの完訳だそうで、図版に至るまで訳し直したそうだ。全6巻の完訳が続くそうで、毎年夏に一冊ずつ出版する計画だそうだ。翻訳者はベテラン凄腕の伏見威蕃。「いわん」という本名が良いね。いわくがありそう。879頁。人名索引6頁。この完訳版の出版が終わるのは、2029年ということで、それまでこっちが持つかどうか、甚だ疑問である。
本の15ページくらいから栞代わりに挟んでいたと思しき演奏会の切符が出てきた。金曜日の午前中開演のピアノ演奏会。協賛上野中央通り商店会が意表を突く。
スキャンのために頁をめくっていて気がついたんだけれど、この本はとても薄い上質な紙でできていて、とてもめくりにくい。それにしても誰かが一度めくっていれば、頁が緩むはずなのに、それもないということは、たぶんこの本をためつすがめつしたのは、たぶん私が初めてなんだろう。そして、1ページに活字がぎっしり埋めてあって、余白が非常に少ない。分厚さを軽減するための工夫なんだろうか。中身はとても面白い。
*水先案内人
普通に生活しているひとには全く縁がないのだけれど、この週末になんということ無くテレビを付けたら『情熱大陸 #1271「東京湾水先人会」』という番組をやっていた。この番組は結構面白い。通常「水先案内人」と呼ぶ人は聞いたことがない。みんな「パイロット」と呼ぶ。大きな船が東京湾に入っていく時はパイロットによる航海を義務付けられている。半世紀前、私が働いていた工場でも試運転前の底洗に横浜港の奥にあったドライドックに船を入れるために必ず航海した。その時の竣工前の本船の船長は元外航船の船長をされていた方が二人常勤していた。そのうちのお一人は南極観測に使われた最初の自衛艦「ふじ」の初代艦長だった方だった。宗谷は海上保安庁の船だった。
パイロットの方の殆どはやっぱりかつて外航船の船長あるいは一等航海士の経験者、もしくは資格試験に受からなくてはならない。この番組には女性のパイロットの方も登場する。女性でパイロットに従事している人がいるとは知らなかった。東京湾にはすでに5人の女性パイロットがおられるという。夜やら、悪天候やら、様々な状況があり得るから、これは激務。一番怖いのはあれた天候の中で、ジャコブと呼ばれる垂直梯子で大型タンカーに乗り移るなんてときだろう。私にはとてもできない。
私達の試運転船はドライドックに近づくと、今度はドックに所属している「ドック・マスター」が乗り込んでくる。当時は二人おられて、そのうちのひとりは大変に売れた小説家のお父さんだった。
この番組は10月22日(日)23:14までTVerで見ることができる。