ほぼ足りてまだ欲 その先

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松代

 長野・松代といえば群発地震が起きたことがあるが、その前は終戦直前に岩盤に建設されていた大本営天皇御座所の工事で知られていた。
 9月にNHKで放送された「幻の地下大本営 〜極秘工事はこうして進められた〜」を録画してみた。大変大規模な工事が西松と鹿島の手によって進められた。日本本土で働いた経験を持つ優秀な朝鮮人労働者を核として、朝鮮半島から強制的に徴用されて集められた若い労働力を三交代で突貫工事に従事させた。敗戦となって特高を中心とした日本の警察は直ちに彼らを帰鮮させた。仕返しを恐れたこともあるし、証拠隠滅のためでもある。その時作られた要帰国朝鮮人名簿がアメリカの国会図書館から出てきた。詳細に氏名、年齢、出身地、松代へ来る前の従事地。当然敗戦後にすべての証拠書類を償却命令が出ていたので、こうした書類は日本国内では残されていないが、たぶん東京裁判の検察側調査で発掘された資料はそのままアメリカに持ち帰られている。だから、戦争中の資料の多くは米国公文書館や、このような国会図書館でしか、発見されない。朝鮮に帰るに当たって、それまでためた貯金は全く引き出し得なかった。出せないと拒否されたという。日韓条約締結に当たって、その後は日本政府は解決済みだとしてきたそうだ。

 あの戦争は大きな大きな負の遺産をあちこちに引きずりながらここまで来た。そして、それを全く蔑ろにしたまま、当時の記憶を残している人たちは次々に鬼籍に入る。それを良いことに、あったことをなかったことにし、歴史を改ざんする勢力が力を増してくる。こうした歴史を忘れたら、その国は滅びるだろう。