ほぼ足りてまだ欲 その先

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聖福寺

 先日借り出してきた本で、敗戦後朝鮮半島から引き揚げてくる人たちを博多で受け入れ、孤児たちを収容する施設や病院、不法妊娠をしてしまった人たちのケアをする施設の設立時の様子を追ったドキュメンタリーだった。
 聖福寺というお寺の境内がその施設に使われていたそうだが今は全くその形跡はなさそうだ。寺の総代から立ち退きを迫られ、そこで立ち消えたそうだ。
 ネットで検索すると、昨年の「婦人之友」8月号にも、このお寺のことが伝えられているというので、早速図書館から借りだしてきた。「1946〜1947年の本誌に詳しい」と書いてあるんだけれど、その時代の「婦人之友」を読むというのは草太安いことではない。都立図書館に行くか、国立国会図書館に行くしか方法はなさそうだ。このご時世ではなかなかそれもままならない。
 そこに出てくる三人の保母さんたちは、羽仁もと子が創刊した「婦人之友」福岡友の会青年部の人たちだったそうで、その関係から昨年の同誌に掲載されていたことには納得が出来る。彼女たちがいなかったら、次から次に増えてくる引き揚げ孤児たちは路頭に迷ったことだろう。こうした戦後の混乱期のことのほとんどはもうとっくに埋もれてしまっていて、人々の口にすら上らない。
 残された41人の孤児の記録から数人のことが抜粋されてこの本に書かれている。涙なくしては読み進められない。