世界遺産委員会(世界遺産条約締約国の中から選ばれた21カ国によって構成される)があって、国際記念物遺跡会議、国際自然保護連合が調査、評価を行う。登録は委員会全体一致による、と聞いたことがある。
この件に関しては、これまで韓国から「戦時中、朝鮮半島出身者が強制労働させられた被害現場だ」として異論が出されていた。確かに佐渡金山の生産労働では朝鮮半島出身労働者が働いていた、それもきつい条件であったことは歴史上の事実であって、戦後の日本にとっては過去の大きな問題点ではある。なぜ浮島丸は沈没したのか。
実際は佐渡の金山だけではなくて、当時の日本社会にあっては朝鮮半島出身者を非常に劣悪な条件のもとで労働を課することについて問題視する価値観を持ち得ていなかった。明白な民族差別があったことは否めない。それは戦争が敗戦となって終わるまで続いていた。これは今でも誰も否定はできない。これを否定するのは、歴史改竄にほかならない。
では、韓国政府はこれまで反対していたのに、なにゆえここまで譲歩したんだろう。
読売新聞はこう説明している。
日韓は国交正常化60年を来年に控え、関係改善が進んでおり、両政府関係者には新たな火種を抱えたくないとの思惑が働いたとみられる。
日本は水面下の交渉で、強制労働の文言を使わない代わりに、現地の施設で常設展示を行い、戦時中に朝鮮半島出身者が約1500人いたことや労働環境の過酷さを紹介する案などを打診し、韓国が最終的に受け入れた。(2024/07/28 10:52)
地元では両手を上げて祝っているけれど、このままではたぶん収まらないだろう。というのは、現在の韓国政権のスタンスが必ずしも次の政権で保持されるとは限らないからだ。日本側が、両手を上げて祝えば祝うほど、当時の熾烈な環境で労働を強いられた側は傷つく。日本はなぜ、過去の過ちを真摯に反省して謝罪することができないんだろう。それがそのまま日本に反対する行為だという煽りが起き、歴史を正しく受け止めることがあたかも過ちのように決めつける、それが「愛国精神」だとするのであれば、そんな「愛国精神」ほど稚拙なものはない。