ほぼ足りてまだ欲 その先

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「よこ糸のない日本」

 えーっとなんの本の参考文献リストからピックアップしたのか、記録するのを忘れてしまったのだけれど、1976年サイマル出版会「よこ糸のない日本」オーテス・ケーリ著を地元の図書館で見つけた。面白く、興味深い。この人は聖職者の息子として1921年小樽生まれ。平成元年の文化功労賞受賞者。米国に帰国後アジア太平洋戦争勃発し、情報将校として進駐。同志社大学の教授となる。この本は翻訳本ではなくて、オーテス・ケリーが日本語で書き下ろしたものだそうだ。戦争中は日本兵を収容する捕虜収容所に赴任していた。やはり捜していて見つけることのできなかった「私は玉砕しなかった?グアムで投降した兵士の記録」はその収容所に収容されていた捕虜の話なんだと、「毎日がレビュー」さんが書かれている。そして、上前淳一郎はこの著者の部下だという。この辺の組み合わせについては多くの方が書かれているから、よく知られていると云うことなんだろう。
 少しずつ読み進んでいるのだけれども、これは相当に面白い。捕虜を多く扱ってきた経験を元にして書かれている状況が実にわかりやすい。豪州NSW州カウラの収容所での話を中野不二男の「カウラの突撃ラッパ」で十分に理解したつもりではあったけれど、彼の解説はそれを十二分に裏付けてくれている。さすがサイマル出版会が手がけていたものだけのことはあるといえよう。こうして考えるとサイマル出版会が維持されなかったのは返す返すも残念である。