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原告勝訴

 神戸の残留孤児たちによる訴訟の判決があり、

兵庫県などの中国残留日本人65人が、日本への早期帰国や帰国後の自立支援を怠ったとして1人当たり3300万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が1日、神戸地裁であった。橋詰均裁判長は「国は自立した生活を営むことができるよう支援する義務を怠った」と認定し、原告65人のうち61人について総額4億 6800万円の支払いを国に命じる判決を下した。
 中国残留日本人訴訟は全国17地高裁で係争中で、原告側が勝訴したのは初めて。永住帰国者約2500人のうち9割近くの約2200人が全国の残留孤児訴訟の原告となっており、来年1月に予定される東京地裁判決など、他の裁判にも影響を与えそうだ。
 橋詰裁判長は判決で、孤児が帰国する条件として国が日本国内の留守家族の身元保証を求めたことなどを挙げて「身元がわからない残留孤児の帰国の道を閉ざした」と指摘。「国は残留孤児の帰国の妨げとなる措置を講じ、孤児の早期帰国を実現する義務を怠った」とした。 (NIKKEI NET11:38)

 これまでの各地の裁判の判決としては初めての原告勝訴(といっても大阪に次いで一審判決は二件目)である。これから先各地で起こされている一審の判決にどちらが影響するだろうか。当然国は上訴することになるんだろうと思う。原告がどんどん高齢化していく中で、最後の決着がつくまでに一体何人が生き残っているのだろうか、そして何人の帰国残留孤児二世、三世が苦しいままにおかれ続けるのだろうか。

 孤児に対する自立支援義務については「孤児の大半が永住帰国時に社会に適応するのに困難な年齢になっていたのは、孤児の救済責任を果たそうとしなかった国の無策と、帰国制限という違法な行政行為が積み重なった結果」と判断。国は残留孤児に対して、日本社会で自立して生活するのに必要な支援策を実施する法的義務を負っていたとした。
 さらに、北朝鮮による拉致被害者に対する自立支援策と比較。「拉致被害者が永住帰国後、5年を限度として生活保護より高水準の給付金や、きめ細やかな就労支援を受けているのに、残留孤児への支援策は生活保護の受給を永住帰国後1年をめどとするなど極めて貧弱だ」と述べ、国の政策の誤りを指摘した。
 橋詰裁判長は判決言い渡し後、「老後の生活についてまでは判断しておらず、原告にとって不満の多い判決であることは裁判所は承知している」と原告らに語りかけ、「裁判を通しての問題解決には限界があることを痛感している」と述べた。
 〈厚生労働省中国孤児等対策室の北原久文室長の話〉 国側にとって厳しい判決であると受け止める。判決内容を詳しく検討の上、今後の対応について関係省庁と協議したい。(Asahi.net 2006年12月01日11時35分)

 1959年の特別立法、戦時死亡宣告制度(未帰還者に関する特別措置法)によって、「残留孤児」ら12,000人余りが帰国を果たさないまま戸籍から抹消され、法的に「死者」とされてしまっていたという経緯を国はどのように捉えているのかを聞いてみたい。この事実を忘れないで歴史を読んでいきたい。この事実を含めて「後の歴史家にその判断を委ねる」ことは国のリーダーとして許されることではなく、怠慢といわざるを得ないだろう。