ほぼ足りてまだ欲 その先

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沖縄密約国賠訴訟

 昨日、東京高裁で大坪 丘(たかき)裁判長は、名誉を毀損されたとした損害賠償請求を棄却した1審・東京地裁判決を支持し、西山太吉控訴を棄却したと報じられていた。理由は「起訴などから20年以内に、提訴などの権利行使が不可能だったとは認められない」ということであり、「2000年5月、当時の河野洋平外相が吉野文六・元外務省アメリカ局長に密約を否定するよう電話で要請したとされる点については東京高裁は『政府の公式見解に沿って報道に対応してほしいと働き掛けたにすぎない』とした」といわれている。
 そうはいっても吉野文六はたしかに「沖縄が返るなら400万ドルも日本側が払うことになった」「VOA (Voice of America)移転費1600万ドルも、日本が支払った3億2000万ドルに含まれていた」と新聞のインタビューに答えていた(こちら)。その上米国の公文書が公開され、その中には「1971年6月12日に吉野・スナイダー秘密合意議事録としての二人のイニシアル付きで交換されていた(「沖縄密約 情報犯罪と日米同盟」西山太吉著 岩波新書 2007.05)ものが見られている。

スナイダー中日米公使
 土地の原状回復補償費の自発的支払いに関するこれまでの議論を参照し、最終的な金額は不明なものの、現在のわれわれの理解では400万ドルになるだろうことを留意する。
吉野文六外務省アメリカ局長
 貴官の発言に留意する。最終的な額は不明だが、日本政府は返還協定第七条に基づいて支出する3億2000万ドルのうち400万ドルを、自発的支払いにあたる米信託基金設定のために確保しておく。公使、貴官の発言に留意する。[末尾に両氏がイニシアルで署名]

 つまり、沖縄返還に際して本来的には米国政府が負担するはずだった費用の中から、2000万ドルを日本が負担して、米国負担を少しでも減らし、とにかく沖縄が日本に復帰することが実現すれば自民党政権にとってはプラスになると踏んだのだろうし、だからこそ自民党政権はその後もバレバレにもかかわらず「知らぬ」「存ぜず」と言い続けている。「なんでもっと早くいってこないんだ、もう期限切れだよ」というのであればそれはそれでしょうがないかもしれないが、問題の根本となっている「密約があったのか、そんなものは一切存在しなかったのか」を明確に判断して、それを宣言するべきであることはいうまでもない。
 なぜマスコミはもっとこの件を取り上げようとしないのか。そして何故国会の中で議論されないのか。
 参議院 予算委員会 2006年3月8日における社民党福島みずほの吉野文六発言に関する質問に対して外務省北米局長(当時)の河相周夫および外務大臣(当時)麻生太郎の答弁(こちら)をみると、実に空虚で「おふざけ」だと云うことがわかる。
 こうしてみると本当に佐藤栄作なんかに平和賞を与えたノーベル賞は実に大失敗だったのだと云うことがわかる。尤もあの時日本人はしらけたものなぁ。