「山谷のおくりびと 一人では死なせない」
「NPO 山谷・すみだリバーサイド支援機構(山本雅基理事長)」が運営している「きぼうのいえ」の話。2001年から始まり、2006年にNPOの認証を受けたそうで、21室を持つ在宅ホスピスケア対応型集合住宅である。年間に1000万円の赤字を寄付で賄ってきているという。
「男には意地というものがあるんですよ」という言葉にはさもありなんと頷き、「今は孤独じゃない・・」という言葉に胸をなで下ろす。いまわの際に氷菓子を探してきて貰って口にして、「あぁ、美味しい」と口に出して翌日息を引き取る56歳に「よく頑張ったねぇ」と声をかけるスタッフ。行政がやらなきゃ、こうして支えてくれる人がいることに本当に驚き、使命を行動にして表す人々がいることに心から感謝を捧げたい。
煩わされたくないという人たちだって、結局、やっぱり人と繋がることに嬉しさを感じ、人間らしさを感じるのは当然のことで、それを自分から切ったんだから、後は自分の責任だと突っぱねることは簡単だろうけれど、最後の最後に人間はやっぱりひとりでいくのは寂しいのに決まっているんだよ。元気なときにどんなことを思い、どんなことを発言したとしても、どんなに力みかえっていたとしても、力がどんどん衰えていき、周りに心を許すことのできる人がどんどん減っていったら、やっぱりそれはいくら「意地」で覆い隠したとしても、実に寂しいことだろうと想像はできる。
東京のドヤ街・山谷でホスピス始めました。―「きぼうのいえ」の無謀な試み
- 作者: 山本雅基
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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