師走だから食べるというものについては思いつかないけれど、この季節だから食べたい、というものは存在する。
そもそもお正月にはお雑煮という、いや別に他の時に食べてもかまわないんだけれど、何となくそんなことをするとありがたみがないというか、晴れがましい時に食するべきものを日常性の中に落とし込めるような気がする食べ物がある。そんなことをしている人を見ると、あるいはかつては良く町内に一軒はあったような甘味処なんかでそんなメニューを持っているところに遭遇したりすると、「裏切り者か、君は!?」と非難したいような気がしたものだ。
しかし、年末、師走だからといってそういった食べ物があるかといったらあんまりピンと来ない。強いて上げれば忘年会で毎回出てきちゃったりした寄せ鍋と最後につくる卵とじおじやだろうか。(そういえばオジャという言葉から来ているんだと先日何処かのテレビがいっていたっけな)。
しかし、今年の私には食べたいと思っているものがある。それは近所の小さなイタ飯屋で数年前に食べたことのあるトマトソースのワタリガニパスタなんである。ワタリガニが寒くならないと美味しくないわけだし、調理したソースがこの季節にならないと持たないということがあるらしくて、この時期にならないと食べられない。4-5日前にも書いたけれど、このパスタは忘れられないほどに美味しい。蟹の滋味がしみ出すというのか・・。
そういえばこの味に近いものを以前にも食べた記憶があるなぁと想い出したのはSydneyのチャイナタウン、Golden Centuryというお店で何人もの仲間と食べたキング・クラブの焼きそばだ。大きな蟹なのでふたりくらいではとても食べきれないからと仲間を募って食べに行った。蟹の身もその前に中華風に調理したものが出るのだけれど、最後になって大きな蟹の甲羅を器にして蟹味噌であえた焼きそばが出てきた時には思わず歓声を上げた。
あぁ、もう想像しただけで涎が出てきそうだ。
追記:091215:ついにトマトソースのワタリガニパスタと牡蛎のクリームソース+フェティチーノを食べた。旨い。