ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

散歩

 朝一番で大手町に出掛けて打ち合わせを終えてから日本橋三越まで歩く。一人だったらあんまり面白くないのかも知れないけれど、姉と一緒だったからあぁでもない、こうでもないと話ながらだったので、なんだかあっという間についちゃったような気がする。仕事をしていた頃だったら、きっとこの距離をタクシーに乗ったに違いない。体力のある頃は無精をして、体力なくなってきてから頑張って歩く。なんじゃ、これは。
 それにしても住友信託銀行もやたらと高いビルを建てているんだなぁ。その向かいの昔の富士銀行のビルは一体全体どんなことになるんだろうか。そういえば和田倉門のほとりのパレス・ホテルもなんだかおどろおどろしいものが建ち上がりつつあるぞ。
 三越は今日から新館7階で「タイタニック展」をやっている。なんで今頃タイタニックなのかというとどうも進水してから100年なんだそうだ。あれだけタイタニックはこの100年の間話題になってきたんだし、船に興味を持つ私が知らなかったとは恥ずかしいけれど、どうやらあの船は3隻のシスター・シップだったようだ。とはいえ、最初に就航したOlympicから変更された部分が相当にありそうだ。
 発注者はWhite Star Lineという今では余り聞いたことのない名前の船会社だけれど、それは無理のない話で1945年にキュナードに吸収されている。建造したのはベルファストのHarland and Wolff Heavy Industries Ltdである。どうやらこのプロジェクトはコスト+フィー方式の契約だったらしいところが窺える。今だったら考えられない話だ。最初に完成したのはオリンピックという船、次にタイタニックそして最後のブリタニックは第一次世界大戦の病院船に徴用されてしまい、後に機雷に触れて失われてしまったので、残ったのはオリンピックだけだったそうだ。
 タイタニックだけなのか、他の2隻もそうだったのか知らないが、タイタニックには乗客数に足りる救命ボートが装備されていなかったといわれている。今だったら考えられない話で、うるさいくらいにライフボート、ライフラフトの類が規定されている。ひょっとするとこの事故からそうなったのかも知れない。乗り込んでいた設計士、Thomas Andrewsはデッキチェアを捉まるようにと船外に投げ続けていたといわれている。
 犠牲者率というものが掲示されていた。女性はクラス上が生存率が高いのに、男性は二等の男性の9割が犠牲になっているということを示している。当然女性を先に助けていたんだろうということが予測できる。

  • 一等船客男性69%女性7%
  • 二等船客男性90%女性19%
  • 三等船客男性86%女性53%

 当時の図面の何枚かが展示されているのだけれど、とても細かい文字になっていて、船首側スーパーインテンデントの承認サインもとても小さくて、この図面が縮小されたものかと思えるほどである。
 船好きな人にとっては造船所の様子も良くわかって面白いし、船室の一部も再現されている。
 さて、そこから今度は半蔵門線にうち乗って永田町まで行く。この路線はかなり乗っている。国立演芸場にいっていつもがらがらな金曜日夜の切符を買う。昨日からの3月上席のトリは林家正蔵正雀」で毎日日替わりである。なんで金曜日の夜かというと、一応「中村仲蔵」をやるというのだ。残念ながら白酒は休演で丈二が代演だという。
 ここはいつもは前売り1,800円で、当日売り2,000円なんだけれど、4月からどちらも2,000円だというのだ。「じゃ、早く歳を取るように努力します」といって切符を貰って帰ってきた。国立施設のシニア料金は65歳からだ。
 今度は有楽町線に乗って有楽町で降りてまたもや家電量販店に上がる。店員さんがもの凄く少なくて、聴く相手が見つからない。
 アップルショップ銀座に寄る。なかなか店員さんが近づいてこない。さすがにこれだけ何回も行くとお見通しだろうか。この前「まける」ともいわない女性店員さんがいたので、接触しないように避ける。見習いの人のような女性店員と二人で今正にお客に何かを売ったらしい。でもどうしても離れない。一瞬の隙を突いてものに触っていると、ようやく男の店員が近づいてきた。しかし、ちっとも声を掛けてこない。こうなるとこっちも我慢比べでちっとも声を掛けない。しかし、良く見ると一番載っけ載っけだった機種が書いてない。私はそれに気がついていながらもう喉の奥から手が出そうな自分を制御できなかった。遂に、その背の高い、まるで私の倍くらい高そうな(そんな筈はない)店員に小さい声を絞り出していう。「ケアをつけたらいくら?」正価しかいわない。ふ〜んといいながらまだ触っている。そのうちにとうとう向こうから切り出す。「端数を切りましょうか。」待ってました。ほんと?でも、あれもいるな、これもいるな。「わかりました、それをつけてこの値段にします。」手を打った。ホクホクしながら持って帰った。
 もったいなくて、まだラップをはがすことができない。
 今日の散歩:12,880歩。