12月8日の「真珠湾」の日前後に本屋にいった時に驚いたのは山本五十六を書いた本の山だった。こんなに出ているのかと驚いたのだけれど、どうやら日本人は彼のことがとても好きなように見える。山本五十六は(本当は戦争戦争には反対だったけれど、近衛に対して)「半年ぐらいは暴れて見せましょう」といったといわれている。
役所広司が演じて、どうやら映画にまでなったようだ。
あれから70年の今年、私の印象では俄に取り上げられたような気がするのだけれど、出版界はなぜ彼をこぞって取り上げるのだろうか。無線を傍受されていることを知りながら飛び立って、P-38に撃墜されたといわれているけれど、その死が彼を余計に英雄にしているのだろうか。
私の国はあの戦争を本当に総括したのだろうか。あの戦争に関して、これだけ多くの事柄が語られ、書かれているけれど、日本という国として、個人個人の私論ではなくて、あの戦争はなんのためだったのか、そして、それがどの様に間違っていたのか、いや間違ってなんかいなくて、本当に必要な決断だったのか、本当のところは何もつまびらかにされていないように思える。
保阪正康が言うように、史実をそのまま取り上げてそれを評価するのではなくて、意図ある形に評価したいばかりに史実をその目的で捉えようとする傾向に拍車がかかっているのではないだろうか。
真珠湾攻撃の指揮官のひとりであった淵田美津雄の自叙伝をもう一度読んで、彼が戦後どの様に自分と戦争を総括してきたのかを噛みしめてみたい。
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