「ぴんぴんころり」なんぞという年寄り臭い、あんまり品の感じられない表現がある。ぴんぴん元気でいるんだけれど、ある日ころりっと死んじまうということをいう。ね?品のない表現でしょ?なんだか、巣鴨のとげ抜き地蔵の境内で婆さんたちががぁがぁいってできちまった言葉に聞こえる。それを「PPK」なんぞと称したりする。しかし、こうして死んでしまうのが苦しまなくて良いというわけだ。本当に苦しまないのかどうかは死んじゃった人から話を聞いたことがないのでわからないじゃないかと思っている。
しかし、あれこれ思い悩まないっていうのはよいのかも知らないとは思うところだ。
ところが、最近、やっておきたいことがあったのに、急に死んじゃったらそれができなくて大変心残りなんじゃないだろうかという話を聞いた。そういやぁそうだろう。このブログだって、facebookだって私が急に死んじゃったら、そのまま途絶えて、半永久的にそこで止まったまま衆人環視の中で放り出され、その後全く書き込みがされないものだからどんどんアクセスが劇的に減って、カウンターが一切回らないまま前日の書き込みで終わっている・・・そりゃいくら何でも寂しすぎないだろうかという気がする。
だから、最後は虫の息ながら家族の手によってパソコンの前に座らせてもらってすべてを削除する作業に使いたいような気がするのであるなぁ。
そうかといって、家族や友達に謝辞を述べていくのも、そこから漏れてしまった人から死後恨みを買いそうな気がするし、キリのない作業になるかもしれないなぁ。
今朝方のラジオ深夜便で天野祐吉と中村メイ子が語っていた。メイ子が「人生の終いじたく」という本を書いたんだそうだ。彼女もすでに77歳となる。この話をしながら天野祐吉も中村メイ子も家には読んでいない本がごっちゃりとあるんだそうで、しかもそれを捨てられないという。それは無駄だとも思うけれど、半分はあれは宝物だとも思うというのである。ここの部分に私は痛く感動したのだ。思わず布団の中で「だろう?」とつぶやきたかった。
だからって今のうちにそれをすべて整理しろというのは、私はないと思うのだよ。それでは何のために生きているのか全くわからないじゃないか。そこまで準備して、「あぁ、あれは捨てちゃったんだっけなぁ」と思いながら何年も生きていくなんて堪えられないと思わないのか。そもそも身の回りの整理なんてことがどんなことでも大の苦手だといっているんだっての。
- 作者: 中村メイコ
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