ほぼ足りてまだ欲 その先

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生活保護

 毎日テレビでは西成の生活保護受給者がどんな生活を送っているのかという放送を流し続けている。支給日に朝からワンカップを片手に「朝から3杯目や!」といい、そのままの足で街金に借金を返しに行って、すぐさままた借金しているという。4.7万円のいわゆる福祉住宅家賃を払って生活費を考えると遊べるのはせいぜい2万円だなぁとつぶやく。一攫千金を夢見ているわけでもないけれど、パチンコや街のばくちに手を出しては後悔の日々だ。
 彼らの多くは50代まではどうにかこうにかこの街で日雇いの仕事で食いつないできた。あの頃は街に仕事は溢れていたし、今日一日を乗り切れば、明日は明日でまたどうにでもなった。しかし、もうそんな時代はとっくに終わっている。
 あの頃は大きな仕事が軒並みにあって、大企業は下請けに仕事を発注し、下請けは人集めだけをまた他に発注し、日々の調整分は暴力団がらみの人狩りがこうしたところから朝一番にトラックに乗せて集めてきた。あぶれたらやけになって味醂でも手に入れて、街角でぐだぐだしていたら翌朝また仕事にありついた。彼らからかすめ取った上前はまた上にかすめ取られ、その上もまたその上にかすめ取られて一番儲かったのは一次受注の会社だ。原発の仕事も全く同じ構図の中にあった。
 もうそんなこともないし、自分自身ももう身体が動かない。昔は動きさえできればどうにか金になった。今はその動くということがどうにもならない。膝が痛い。腰が痛い。血圧が高い、糖尿が出た、目が霞む。もう賞味期限がとっくに切れた。
 あの時、かすめ取っていった分で酒飲ましてくれまいか?え?とっくにそんなものはない?なんで自分で貯めておかなかったんだ?
 キリギリスは尾羽枯らしてその辺でのたれ死ぬで良いのか?
 「俺が納めた税金をこんな奴のために使うな!」という声がテレビの向こうから聞こえてきそうな番組ばかりだ。その前に特別会計がどんな状況で使われていて、それはなんのために予算確保がされていて、一番儲けているのが誰なのかについては語られているの?全然語られていないじゃないか。
 電力会社の電力料金がどんな計算方式で決められていて、彼らが設備に金をかければかけるほど電力料金を値上げすることができて、絶対に損をするということがないというシステムになっているということをテレビは毎日語っているの?
 文化国家というのは、どんなに間違った人生を送ってきたとしても、尾羽枯らして街角で倒れている人に唾を吐きかけて「死ね!自業自得じゃ!」と見捨てるものではないんだとそう思っているんだけれどなぁ。
 もちろん健全な身体を持っていながら生活保護を受け取っている暴力的な連中や、嘘つきは糾弾するべきだ。テレビは彼らを追求しているのか?福祉事務所はそうした暴力的な申請者を怖くて拒否できずにいるという実態をもっとあからさまにしないのはなぜだ。自分だって暴力的な連中相手に何もできないでいるのではないのか。文化国家は強いものには尾っぽを巻いて逃げ出すのか。