ほぼ足りてまだ欲 その先

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規制撤廃

 TPPが必要なんだとする主張の根拠というのは一体何だろう。元はといえばシンガポールブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効。アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが参加を表明。ということらしい。で、何をするのかというと、つまり加盟各国間ですべての規制を撤廃するということのようだ。EUの様にツーツーにするという構想らしい。
 すると何が起きるのかというと、安全でないから規制している、あるいは国内の産業を保護するために規制しているというようなことはすべてなくなるということなんだろう。撤廃だ。農業がいの一番に思い浮かぶ。何でも入ってくる。何でも売り込むこともできる。売れるものというのは何だろう?日本の果樹は旨いぞ。イチゴにしたって、林檎にしたってこれほど旨いものは米にも豪州にもないぞ。これが売れるんじゃないのか?いや、売れるんだったらとっくに売れているか。
 しかし、米はもうダメになるだろう。なにしろ米国に暮らしている友達が「こんな旨い米はない!」というくらいの短粒米があるといっていた。豪州に暮らしていた時も私は豪州の短粒米を食べていたけれど、中にはカリフォルニア米を食べていた友達もいて、これは最高だといっていた。しかし、問題は供給量だろう。例え一時的に供給ができたとしても、これによって日本の米作がなくなってしまった時に、米国によって食い物の首根っこを押さえつけられてしまう。いやいや、もう日本人は米を食わないじゃないかというなかれ。小麦だってもうとっくのとんまに米国や豪州に首根っこを押さえられているのである。讃岐うどんだって豪州の小麦が干ばつで足りなくなるとすぐさま影響が出る。つうことは米だってそういうことになる。
 輸送に耐えられる作物は全部他国の安いものにやられるということだろう。他国よりも有利な作物があったとしても340万人といわれる農業人口がそれで喰っていけるのか。喰っていけない部分は他の産業に移行すればいいのか?
 この規制撤廃で有利になる日本の産業とは何だろう?経団連はじゃんじゃんやれ、推進だ!と主張しているから大手企業は賛成しているということだ。それはどこだ?自動車業界が潤うのは事実のようだな。電気製品はどうだろう?ハイテク(この言葉自体が古くなったか)素材メーカー?多分米国が主なる市場であることは間違いがない。なぜなら他の各国は物理的に市場が小さい。人口から見たって米国以外の8カ国を足しても米国の3億2千万人弱には届かない。だから、韓国は米韓二国間FTA協定にしたのか。
 メーカーが工場をどんどん中国、マレーシア、メキシコ、インド、ベトナム、これからはビルマにシフトしていくだろう。しかし、それがTPPに参加すると、その三カ国の中で賄えばどこに工場を作っても同じだ、ということになって、国内産業が空洞化されても、TPP域内のどこかで賄われているということになるらしい。
 やっぱり問題は米国だな。「日本の国民健康保険は自由な民間保険企業の活動を規制する非関税障壁だ」といわれたらどうする?これ幸いと厚生労働省はすぐさま撤廃して民間保険導入に踏み切るな。
 米国の友人に聴くと、彼らが入っている民間健康保険は保険料が高い上に、何かの治療をするためには必ず「こういう治療を保険適用として受け入れるか」を聴いてからでないと治療を始められないという。今の日本の医療制度はやり過ぎなのか?今だって健康保険料を払いきれない人が無保険状態になっていることが問題視されている。その上それが廃止されてしまうと、今度は何が起きるのか。
 逆に日本から要求できるのだろうか。民間に医療を委ねてしまうのは人間の尊厳に反しているから、民間医療保険は撤廃するべきだと。
 一説には遺伝子組み換え作物を入れないというコントロールが廃止要求されるだろうといわれている。こうなると医療や介護の現場も国家資格の制限が撤廃要求される可能性がある。
 中国が加わっていない中でアジアの経済圏は語ることができるのだろうか。これからは中国はアジアだけでなくて世界的な規模で経済的なリーダーとなるだろう。なんたって市場の大きさが違う。
 こうした問題のひとつひとつについていちいち説明をされるべきで、大飯原発活断層の有無と同じように両方の立場からの解説を聞きたい。
 それを実現するのがマスコミの役割でもあるし、政府の役割でもある。それをサボるのは業務怠慢のそしりを免れない。