ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

脱北者 23歳

 昔から米国CBSの「60 MINUTES」という番組は興味深い視点からの話題を提供し続けている。かつては夜中とはいいながらTBSがこの番組からピックアップした物をピーター・バラカンの解説で日本語吹き替えにした物を「CBSドキュメント」という名前で放送していた。しかし、何が理由なのか、意外と手間・金がかかる割に視聴率が上がらないということなのか、権力に対する挑戦的な視点という物が気に入らないのか、もう1年以上前に取りやめとなってしまった。今では2010年4月以降、CS・ケーブルテレビ局で放送されるニュース専門チャンネルTBSニュースバードで『CBS60ミニッツ』として放送が継続されているそうだけれど、うちではこのチャンネルを契約していないから見ることができない。いまでもピーター・バラカンが担当しているそうだ。彼は自身のtwitterでもこの番組の継続を願っていた。ということは番組の制作費の問題ではなかったということになる。真夜中とはいいながら地上波で放送していた物をCSに追いやってしまった理由とは一体何だろうか。
 で、本家の番組は日曜日の放送が終わると、直ちにwebu上にこれが公開されて、全編そのまま見ることができる。もちろん日本語のスーパーがついているわけではないけれど、web上にテキストも表示されている頁があるので、文字を追いながら見ることができる。しかも、これはそのままpodcastでも落とすことができるので、オン・ディマンドで見ることもできるというサービス満点システムである。この点でいうと日本のテレビ局は全くやる気がない。NHKなんぞは視聴者から金を集めて番組を造っているというのに、その視聴者があとからオン・ディマンドで見ようとするとまた金を払えと要求する。法律の問題なんだというのだけれど、それなら法律を変えたらよい。いつまでも高給をはむことばかりに腐心していないで、視聴者サービスを真剣に考えるべきで、その点では米国民間局ばかりではなく、BBCを含めて勉強する必要があると強調しておきたい。
 ようやくタイトルに到着するのだけれど、親子三代にわたって北朝鮮平壌から50km北にある第14強制収容所に収容され、脱北した23歳の男性に対するインタビューを放送した(こちら)(テキストはこちら)。アメリカという国があることはおろか、地球が丸い、ということすら彼は知らないという。いや、それはいくら何でも無茶苦茶だろうという気がしないではないが、彼の話を聞いているとそんな環境があり得ることはあの国では驚くべきことではないのかも知れないと思えてくる。彼は収容所の中で産まれ、両親を知ってはいるが、一緒に生活をするわけでもなかったそうで、「Loveという概念がわからない」というのである。与えられる物を着て、与えられるものを食べるだけで、23年間常に空腹を抱えていたという。13歳の時に父親と兄が脱走を企てた所為で殺されたという。その影響で母親も絞首刑になったそうだ。
 彼の話は既に本になって刊行されている。にもかかわらず、「60 MINUTES」が今頃彼を取り上げた理由はなんだろう。

北朝鮮 14号管理所からの脱出

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収容所に生まれた僕は愛を知らない

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Escape from Camp 14

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