ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

生活音

 私は結婚以来一戸建ての家に住んだことがない。ずっと集合住宅に住んできた。最初は当時は良くあった社宅の2DKだった。周りは上も下も隣もみんな同じ会社の人たちだから、気がおけない・・・というのが普通なのかも知れないけれど、実は異なる事業部の人たちも入っていたから、全く顔を知らない人も混在していた。上の階は男の子の幼児がいる家だったけれど、全くあったことも口を利いたこともない人だった。そこの子どもが良く飛び跳ねて、わが家の天井はドスンドスンと時として音がして、うるさいものだと腹を立てた。
 そこから転勤して住んだのは民間の5階建てのアパートの1DKだった。隣にやっぱり幼児がいる家族が住んでいた。うるさくはないのだけれど、お祭りの縁日で飼ってきたひよこがそのまま大きくなって飼っていた。それはやっぱり雄で、朝方に時を告げるのだった。下町の朝日が当たる路地に「コケコッコォ〜!」と見事に響き渡って目が醒めた。
 次に近くの3DKに越した。ここでもまた上の階に幼児がいる家族が住んでいた。全くあったことのない家族だったのだけれど、理事会で情報を集めると某区議会議員(後に彼は国会議員になった)の弟で某有名電機メーカーに勤めている男性が子ども二人と三人で暮らしているという話だった。あまりにもドスンドスンがうるさくて、下から天井を突っついたことがある。
 今の集合住宅では上の子どもの跳ねる音が時々は聞こえたけれど、殆ど気にならなかった。ところがそこの奥さんがベランダに水を流したのはかまわないのだけれど、「オリロー」といったか非常時に蓋を開けて金属製のハシゴをおろして下の階に非難する装置の隙間からも水を流すものだから、わが家のベランダにジャァジャァと垂れてきて、思わず、「水がこぼれて来ちゃいますよぉ〜」とご注進したのだけれど、それ以来全くわが家を無視するようになっちゃった。うるさい家族だ!と思っているってことだろう。
 どうもそこのお宅が一日に何度もゴロゴロ、ゴロゴロとなにかを転がしている音がする。掃除機をかけているのかも知れないけれど、それにしても必ず夜の7時過ぎにその音がする。そんな夕飯時に掃除をするとはちょっと考えにくい。この音がいつからするようになったのか記憶にないのだけれど、毎日必ずだ。一体何だろうか。
 お隣のお宅で飼っていた犬が先月なくなった。それまで飼い主の方がご帰宅になると必ず嬉しそうに啼いた。しかし、うちでは全く気にならなかった。なぜかというと、お隣のご家族をよく知っているし、その犬だって、よく知っていたからである。その声で、その様子が微笑ましく想像できるからだろう。
 お互いを知り合っていれば、そしてそれが何の音なのかが分かっていたら殆どトラブルなんてことは起きないし、知っていれば相手を慮る気持ちが自然に湧くのである。