ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

栃の実

 秋になると思い出すのは、栃の実のこと。かつて我が家は群馬県の今はもう中之条町と一緒になってしまった六合村という山の中に遊びに行くのを家族の中心行事としていた時期がある。本当に奥にあるこの村は戦前は鉄鉱石の鉱山で、戦後になっては開拓村となっていたのだけれど、これといった産業はないし、酪農とやせた土地での農業ぐらい。野外活動にはもってこいという地域だった。
 年に数回訪れていた山の中にかつて誰かが植えたトチノキがものの見事に大木となっていて、秋になると実をつける。栃の実にそれまで何の興味もなかったのだけれど、秋にキャンプに珍しくいったときに、たくさんの実を付けているのに気がついた。朝になると下に落ちている実を丁寧に拾って、持ってかえってきた。とにかく灰汁が強いからといわれて、水でさらしている間にボォ〜っとしていて、腐らせた。
 あれから栃の実を見るたびに罪の意識に苛まれる。